子宮頚部異形成に対する診断・治療
子宮頸癌はいまや、若い方がかかる癌です。30歳過ぎぐらいに発症のピークがあります。20歳を過ぎると前癌病変(まだ癌ではありません)が出現してくることがあります。そして5年から10年の時間をかけて癌になっていくのです。子宮頸癌のほとんどがHPVというウイルスの感染のよって起こります。
もちろん最初は症状はありません。ですので検診が非常に重要です。年に1回は子宮頸癌の検査を受けることが重要です。また、原因となるウイルスの感染を予防するワクチンがあります。しっかりした検診とワクチンによって防げる癌なのです。
検診の結果、細胞の異常が見つかることもあります。段階的に適切な検査を行うことによって正確な診断が得られます。HPV検査、コルポスコピー下に行う組織診によって、現状を正確に把握します。そして、状況に応じて、経過観察でよいものから、レーザー蒸散術(当院で行えます)、円錐切除(入院、手術が必要ですので最適な病院を紹介いたします)などを選択していきます。
レーザー蒸散術(子宮頚部異形成上皮レーザー照射治療)とは
円錐切除術と比較したメリットとデメリット
メリット
- 術後の妊娠において早産のリスクは高まりません。円錐切除の場合、早産のリスクが2倍ほどになると報告されています。また術後に子宮頚部が狭くなり、妊娠しにくくなる可能性もあります。
- 外来での日帰り手術となります。費用は1万円少しです。円錐切除は数日の入院が必要となります。
デメリット
- 治癒率は90%ほどです。円錐切除ではほぼ100%に近い数字になります。
- 表面を焼き払いますので、術後の組織の検討ができません。円錐切除の場合、採取した組織の病理検査を行いますので、術後に、より深部の病変が見つかることがあります。
手術の方法
子宮頚部の病変を含む表層全体を炭酸ガスレーザーにて蒸散させます。悪くなった細胞を焼き飛ばすイメージです。
時間は10分前後です。痛みはほとんどなく、麻酔なしで施行可能ですが、痛みがある場合局所麻酔を追加いたします。
術後の経過と注意点
蒸散された組織が再生し、肉眼的に元にもどるのに4週間前後かかります。
その間、少しの出血やおりものが続くことがあります。組織が再生されると自然と止まってきます。
組織が再生されるまでは性交はひかえていただきます。
術後2-3か月後から細胞診のフォローが必要になります。