女性の性病(性感染症)は初期症状を見逃してしまい、発見が遅れ症状が進行しているケースが多くあります。
症状の進行は状態の悪化を招くだけでなく、感染を拡大させる危険性もあります。
初期症状を見逃さないためには、おりものや下腹部の違和感、性器の違和感など些細な異変の気づきが重要です。
今回は、女性に起こる性病の種類や症状の特徴などを解説していきます。
- 女性の性病の初期症状
- 性病の種類
- 感染拡大予防の方法
些細な症状を見逃さずに早期治療に臨み、感染拡大を予防できるよう性病についてしっかり理解を深めましょう。
女性の性病は初期症状での気づきが重要だが見逃される可能性がある

女性の性病の初期症状は、気にならない程度の軽いものから違和感を感じるものまでさまざまあり、初期での発見が難しいのが現状です。
性病に限らず、初期症状を見逃さずにいち早い対処によって、より早期の感染の拡大予防に役立ちます。
特に性病は気づかないうちに他人に感染させてしまうリスクが大きく、症状が進行すると不妊などにつながってしまう場合があります。
初期症状に気づくためにはどのような症状に気をつけたらよいのか、下記で詳しく解説していきます。
おりものの変化だけでなく陰部や下腹部の軽い痛みだけでも性病の可能性がある

性病の種類によって現れる症状は異なりますが、女性の性病で多く見られる症状には下記のようなものがあります。
- おりものの異変
- 排尿時の痛み
- 性器からの異臭
- 性器周辺の痛み
- 陰部にできもの
- 急な発熱
そのため、おりものの臭い、色や粘稠度などの性状などの異常には十分に気をつけましょう。
さらに性病によって感染を引き起こしている場合には、急な発熱や喉の違和感などの体調不良を生じるケースも少なくありません。
性病は症状が出るまでの潜伏期間が種類によって異なり発見が遅れる可能性がある

性病は感染後、比較的すぐに症状が現れる場合が多いとされていますが、菌の種類によって潜伏期間が長く症状が現れるまでに時間を要するものもあります。
主要な性病の潜伏期間は下記の通りです。
病名 | 潜伏期間 |
---|---|
梅毒 | 3週間 |
クラミジア | 2〜3週間 |
淋病 | 2〜9日間 |
性器ヘルペス | 3〜7日間 |
トリコモナス | 5日〜3週間 |
エイズ | 2週間〜数十年 |
これらの潜伏期間には個人差も大きく、体調や衛生状況などによっても症状の出現時期は左右されます。
特にエイズは、感染後の潜伏期間に差があるため発見が遅れ、治療を開始するのが遅れてしまうケースもあります。

不妊症などの後遺症につながる可能性もあるため初期対応が重要である
初期症状に気づかなかったり症状も軽症であるために放置したりすると、不妊症や異常妊娠などを引き起こすリスクを高める可能性があるため、早急な対応が重要です。
性病は、症状が進行し重症化する恐れや他人へ感染させるなど、自分自身だけでなくパートナーやその周囲の人にも影響を及ぼしかねません。
そして、性病は治癒した後も後遺症として、不妊症や子宮外妊娠などの異常妊娠を起こすリスクを高めてしまう可能性があります。
妊婦健診では初期と後期に性病の感染の有無をしっかり検査しますが、その理由の1つは、母体が性病に感染したままで出産すると産道感染により新生児に感染する恐れがあるからです。
それぞれの性病ごとに特徴的な初期症状が異なる

潜伏期間や発症時期がさまざまな性病ですが、それぞれに特徴的な症状や進行度が異なります。
性病の種類によって特徴的な症状があるため、医療機関の受診の際にはどのような症状がいつ頃から現れたのか、しっかりと伝えると正確な診断に役立ちます。

さらに、性病の違いによっては検査可能となる期間も異なるため感染したであろう日の心当たりの有無も重要です。
性病の種類によって現れる特徴的な症状にはどのようなものがあるのか、下記で病名ごとに詳しく解説していきます。
クラミジアは無症状の場合も多いが排尿時の違和感やおりものの異常が見られる

クラミジアはクラミジアトラコマティスという細菌が原因で起こります。
性感染症の中でももっとも一般的とされ、男女ともに感染していても気づかない場合が多い性病です。
特徴的な症状として現れるのが排尿時痛であり、感染後2〜3週間で発症するケースが多く見られます。
おりものの変化ではサラサラとした水っぽいものから始まり、進行するにつれて黄緑色で膿のようなおりものに変化するのが特徴です。
さらに感染が進行すると、子宮内部や卵管など骨盤内臓器にまで浸潤する場合もあり、不妊や流早産の原因を招く可能性もあります。
クラミジアの感染検査は、尿検査や膣分泌液の採取から判定し、接触したとされる日から1日以上経過していると可能です。
性行為の方法によっては、咽頭や肛門の粘膜をぬぐい液で検査を実施します。
淋病は不正出血や下腹部痛などの症状の出現と喉の症状が出る場合がある

淋病は淋菌と呼ばれる原因菌によって子宮頸管炎や子宮内膜炎などを引き起こし、不正出血や骨盤内炎症などに発展すると下腹部痛を伴う場合があります。
さらにオーラルセックスなどの行為により咽頭感染も引き起こすため、咽頭痛や扁桃炎なども併発する可能性があります。
後遺症として不妊症となるリスクもありますが、産道感染により新生児に感染させる恐れもある性病です。
検査方法はクラミジア同様で行えて、尿検査や膣分泌物の採取、感染の可能性のある粘膜のぬぐい液から検出ができます。
検査時期は、接触したとされる日から1日以上経過していると可能となります。
性器ヘルペスは外陰部に出る水ぶくれが特徴的で強い痒みや痛みを伴う

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因となり、小さな水疱疹や潰瘍性病変が特徴的な症状として現れます。
単純ヘルペスウイルスには1型と2型が存在しますが、性器周辺に感染するものは単純ヘルペスウイルス2型です。
無症状のままウイルスを保菌している人も多くいますが、患部は熱感を帯びたり、痒みや痛みを伴う場合もあります。
さらに性器ヘルペスは、オーラルセックスなどにより口唇周囲にも感染する可能性があります。
検査可能時期は症状が現れてからになりますが、再発時には発症後6時間以内に抗ウイルス剤を内服し症状の悪化を防いだり、治療を促進させる効果が期待できるPIT療法を行ったりします。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は自覚症状がないまま子宮頸がんの原因を作る可能性がある

HPVは感染すると子宮頸部から侵入し、後に子宮頸がんに進行する恐れがあります。
HPVには遺伝子型が複数あり、子宮頸がん以外にも肛門がんや中咽頭がんなどを引き起こす原因となるものもあります。
感染者は若年層に多く、その半数以上が気づかないうちに感染しているとされていますが、ワクチンで予防ができるウイルスです。
子宮頸がんの症状が現れた時には進行している場合が多く、進行度によっては子宮を摘出する必要がある場合もあります。
梅毒はしこりや発疹が出ても自然消失するため見逃さないのが重要

梅毒は、トレポネーマパリダムと呼ばれる細菌が原因です。
症状に気づかずに無治療のままであったり、放置してしまったりすると数年から数十年の期間を経て内臓疾患を生じる恐れがあり、最悪の場合では死に至る可能性もあります。
梅毒は、他人へ感染させる期間が長いのも特徴の1つです。
その期間は感染後3週〜3年ほどあるとされ、感染力を失った後も血液検査では梅毒の菌が検出されます。
抗体や抗原によって検査方法や項目が異なる点や初期では菌を十分に検出できない可能性があるとされているため、梅毒の検査を実施する際は、性的接触から3ヶ月以降が推奨されています。
初期症状に気づいたら早期受診とパートナーとの情報共有が不可欠となる
性病の初期症状には痒みやおりものの変化、不正出血など軽視してしまう症状が多くあります。
しかし性病においてこれらの症状は重要なサインであり、重症化や後遺症、感染の拡大を防ぐためにも見過ごさないようにするのが重要です。
特に女性の性病は自覚症状がないものも多く、十分に注意していても感染させてしまうケースも少なくないでしょう。
その中でも自分やパートナーの健康を維持し、感染の拡大を防ぐためには、初期症状を見逃さずに早期的な医療機関への受診とパートナーとの情報共有が不可欠となります。
そして、性病の検査は安全な性行為や自分の将来、パートナーの健康を守るためにも必要です。
少しでも異変を感じたら早急な受診が正確な診断や治療に役立つ

性病は菌やウイルスの種類によって潜伏期間が異なる点や、はっきりとした症状が現れない点から感染に気づかずに、発見が遅れたり感染を拡大させてしまったりするリスクが大きいです。
おりものの変化、排尿時や下腹部の違和感など些細な症状でも気づいた時点で医療機関を受診するのが望ましいでしょう。
さらに、症状だけでなく発症時期や性行為の有無なども正確に伝えると正確な診断や治療につなげられます。
感染の拡大は、決して他人事ではなく、自分自身にも大きく影響する可能性があるといえます。
少しでも異変や違和感を感じたら、ためらわずに早期に受診をし自分の健康と将来を守る行動をとりましょう。