喉に出る性病の症状と女性が知っておきたい風邪との見分け方

喉に感染する性病の症状とは

近年、性行為のあり方が多様になった影響で性器のみでなく、喉にまで性感染症が広がっています。

主な症状は喉の痛み腫れが多いですが、風邪症状と似ており、判別が困難気づかないうちに感染している場合もあります。

そのため、パートナーとのオーラルセックスの後に喉の痛みなどの症状が出ると感染を疑い、不安になる人もいるでしょう。

この記事で分かること
  • 喉への感染経路
  • 喉に感染する4つの性感染症
  • 性感染症と風邪症状の違い
  • 感染拡大の可能性

性感染症の原因や症状に関する正しい知識を持ち、持続する喉の痛みなどがある場合は、早期に病院を受診して感染拡大や重症化を防ぐのが大切です。

目次

喉の性感染症はオーラルセックスなどの性的接触が原因である

性病が喉に感染する原因とは

性行動の多様化によって多くの人がオーラルセックスを含む性交渉を行っているという背景があり、性感染症が喉にもうつる人が増加傾向にあります。

性感染症とは、病変部や病原体を含む体液などから性的接触を通じて、相手の性器や喉の粘膜に接触するために感染する病気のことです。

喉の粘膜に性感染症の原因となる病原体がうつる可能性がある行為は、以下のものがあります。

  • オーラルセックス
  • ディープキス

性感染症に感染している人の性器が、これらの性的接触によって粘膜に覆われた喉へ接触するためウイルスや細菌がうつります。

粘膜の接触を伴わないキスの場合は感染の可能性は低いですが、口の中に病変がある人とディープキスをすると唾液から感染する危険性があります。

しかし、喉に感染を起こしても無症状であったり風邪症状と似ていたりするため、感染の事実に気づくのが困難です。

そのため、パートナーや自分の性器など喉以外の部位に感染を拡大させる危険性があります。

喉に感染し風邪様の症状が出る性感染症は主に4種類ある

性感染症のうち喉に感染を起こすものは、以下のとおりです。

喉に感染する性感染症
  • 咽頭クラミジア
  • 咽頭淋病
  • 梅毒
  • 咽頭ヘルペス
  • 尖圭コンジローマ
  • HIV(エイズウイルス)
  • 性器マイコプラズマ
  • ウレアプラズマ

尖圭コンジローマは喉に感染すると特徴的なイボが喉にできる病気であり、風邪との判別は容易です。

HIV感染者とのオーラルセックスによる感染は、膣や肛門による性行為に比べて可能性は低いものの、口の中に潰瘍があったり血液に触れたりすると感染する危険性があります。

性器マイコプラズマウレアプラズマは喉から菌が検出される場合がありますが、感染の仕組みや実際に症状を起こすかどうか、保菌率など不明な点が多いのが現状です。

さらに、常在菌なのか病原菌なのかについても長く議論されてきた菌であり、喉の性感染症とはっきりは言い切れません。

一方で咽頭クラミジア咽頭ヘルペスなど他4つの性感染症は、喉へ感染すると風邪と見分けるのが難しく、感染拡大を招く危険性が高い病気です。

風邪との判別が困難な性感染症

咽頭クラミジアはクラミジア•トラコマチスの感染で発症する

咽頭クラミジアは、クラミジア•トラコマチスという細菌が原因で起こり、最も多い性感染症の1つです。

クラミジア•トラコマチスは乾燥に弱く、性行為以外の接触では感染はしませんが、感染している部位に喉の粘膜が接触するとうつります。

そのためオーラルセックスやディープキスなど粘膜接触や唾液から感染しますが、ほとんどの場合、自覚症状はありません

しかし細菌が喉の粘膜に入り込みその中で増殖するため、治療をしないと治癒は難しく、放置すると長期にわたる喉の違和感痛みなどを招く可能性があります。

咽頭淋病は淋菌が喉の粘膜に入り込んで起きる性感染症である

咽頭淋病は、淋菌と呼ばれる細菌が喉の粘膜に接触して起こります。

ディープキスやオーラルセックスによって、感染した部位や淋菌が混じった分泌液が喉の粘膜に直接触れるため、喉への感染が成立します。

淋菌は乾燥や熱に弱く、人の粘膜以外で生息するのが難しく、性的接触以外で感染はほとんどありません。

喉の粘膜に淋菌が感染すると、線毛と呼ばれる細い突起のようなものを動かして粘膜の表面に付着し、そこからさらに下に入り込んで増殖します。

しかし、咽頭に感染しても無症状の場合も多いため、気づかないうちにパートナーにうつしたり自分の性器にも同時に感染したりする可能性があります。

梅毒は梅毒トレポネーマの感染によって起こり放置すると全身に広がる

梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる細菌が原因で起こり、症状が出たり消失したりを繰り返しながら徐々に進行していく性感染症です。

梅毒トレポネーマは酸素に弱い性質を持っており、体外で生存できるのは短時間であるため、喉の粘膜と感染した性器が触れるような行為で感染が起こります。

性感染症による症状がある性器や口腔が、粘膜や傷口に触れると感染するため、オーラルセックスなどの性的接触でもうつる危険性があります。

喉の粘膜で感染を起こすと、感染部位で増殖して潰瘍などの症状を引き起こしますが、無症状の場合も少なくありません。

さらに梅毒は症状が出現しても一時的に消失し、感染に気づかずに放置すると血液を介して全身に広がり、さまざまな症状を引き起こすため早期治療が重要です。

咽頭ヘルペスは1型のウイルスが原因で起こり完治しない性感染症である

咽頭ヘルペスは、唾液などに含まれた単純ヘルペスウイルス喉や口唇の粘膜に感染して起こる性感染症ですが、他の性感染症と違って治療をしても完治はしません

単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、1型が喉に感染を起こす原因のウイルスです。

喉の粘膜に感染した単純ヘルペス1型は、感染部位で増殖して潰瘍や水ぶくれなどの病変を形成し、その後粘膜を支配する神経へ入り込んで潜伏し続けます。

単純ヘルペスは、一度感染すると完全に排除するのは困難であり、症状が出ていない場合でも感染力があるため性的接触をするとうつる危険性があります。

さらに風邪や疲労などによって免疫力が低下すると、潜伏していたウイルスが再び活動を始め、同部位に症状が繰り返し現れるのが特徴です。

喉に現れる性感染症の症状は風邪と区別するのが難しい場合がある

喉に感染する性感染症の症状

オーラルセックスやディープキスのような感染部位と粘膜が直接接触する行為は、喉に感染を引き起こします。

性感染症によって症状には多少違いがあり、無症状のまま経過するときもありますが、以下のような症状が出る場合があります。

種類喉に出る症状と全身症状
咽頭クラミジア痛み、腫脹、赤み、咳、発熱
咽頭淋病痛み、腫脹、赤み、咳、発熱
梅毒しこり、潰瘍、腫脹、発熱、発疹
咽頭ヘルペス強い痛み、水疱、リンパ節腫脹、高熱

このような症状が出ても風邪を引いたときに現れる症状とも似ており、性感染症によるものなのかを見分けるのは難しい場合が多く、これが感染拡大につながる原因にもなります。

性感染症による喉の症状は鼻水や咳などの風邪症状を伴わない場合が多い

性感染症が原因であらわれる喉の症状は無症状の場合もありますが、症状が出ても軽度であったり風邪症状に似ていたりするため、感染の有無を判別するのは難しいです。

風邪では喉の痛み以外にも咳や鼻水、発熱など全身症状が同時に出るケースが多く、風邪薬を服用すると1週間程度で症状は改善します。

そのため、喉の痛みに加え、咳や鼻水の症状が出ているときは風邪の可能性が高いでしょう。

さらに扁桃炎では強い腫れや白い斑点が喉に見られ、高熱を伴うときも多いため性感染症との判別はある程度可能です。

一方、性感染症の場合は喉の痛み以外には鼻水や咳、発熱などの風邪症状は伴いません。

その他にも咽頭クラミジアや咽頭淋病では喉に赤み腫脹が見られたり、梅毒ではしこり潰瘍、咽頭ヘルペスではリンパの腫れ水疱を形成したりするのが特徴です。

加えて風邪薬を内服しても症状が改善せず、オーラルセックスなど性的接触の経験がある場合は、性感染症による症状の可能性があります。

喉の痛みなどが続くときは専門の医療機関を受診するのが大切である

喉の痛みが続くときは専門の病院や婦人科を受診しよう

喉の痛みや違和感などが風邪薬を内服しても改善しないときは、性感染症による症状の可能性があります。

性感染症は軽症であっても治療しないと治癒するのは難しく、放置した場合、疾患によっては重症化する危険性があります。

そのため、オーラルセックスなど性的接触の経験があり、症状が改善しないときは早期に医療機関を受診するのが大切です。

しかし、内科や耳鼻咽喉科を受診すると風邪症状として対処される場合が少なくありません。

性感染症を疑うときは、専門の病院婦人科を受診するのが望ましく、耳鼻科を受診する際は事前に電話で性感染症の検査や治療ができるかの確認をしましょう。

喉の性感染症の検査では、うがい液を用いたものと咽頭の粘膜をぬぐいとるものがあり、梅毒が疑われるときは血液検査をする場合もあります。

うがい検査は、滅菌生理食塩水を口に含み20秒程度うがいした後にその液体を調べる方法で、咽頭ぬぐい検査は綿棒で喉の奥を擦り検体を採取して検査を行います。

気になる症状があるときはこれらの検査を早めに行い、病原体を特定して治療を始めるのが大切です。

喉に感染しても自覚症状が乏しい場合が多く発見が難しい

性感染症は感染部位や病原体を含んだ体液から感染するため、オーラルセックスなどが原因となり、喉への感染を招きますが症状が出ない場合が多いです。

さらに症状があっても風邪症状と非常によく似ており、性感染症であると気づかずに性行為を続けると、感染を拡大させます。

喉に感染している病原体がオーラルセックスを通してパートナーの性器へ感染し、そこから自分の性器にうつるときもあります。

そのため、性器に性感染症の症状がでて病院を受診した人の喉を調べると、喉にも同時に感染している場合があるのが現状です。

このように無症状であったり症状が軽度だったりしても感染している可能性があり、放置すると症状の悪化や不妊子宮外妊娠など深刻な問題につながります。

パートナーが性感染症と診断されたりオーラルセックスをして喉に違和感があったりするときは、感染の可能性を考えて早めに専門の医療機関を受診するのが望ましいです。

性感染症は症状がなくても治療しないと治癒はしないため、適切な検査と治療を早期に開始して、重症化や感染拡大の防止に努める必要があります。

早期発見・適切な治療が重要

喉に異常があるときは早期に病院受診して治療をするのが大切である

喉の性感染症には咽頭クラミジア咽頭淋病などがありますが、どれも無症状であったり風邪の症状と似ていたりするため、感染に気づくのが困難です。

しかし、感染に気づかないまま放置すると症状悪化感染拡大を招いてしまいます。

風邪による喉の異常では、鼻水や咳などを伴い、風邪薬を内服すると1週間程度で改善するのがほとんどです。

一方、性感染症の場合はそれらの症状を伴わないときが多く、風邪薬を内服しても症状は改善しません

喉の痛みなど違和感が持続し、オーラルセックスといった性的接触の経験があるときは性感染症を疑いましょう。

早期に婦人科専門の病院を受診して検査を行い、治療をするのが大切です。

性感染症は自然に治癒はしないため、気になる症状があったりパートナーが感染していたりする場合は自己判断はせず、病院を受診してください。

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