性行為後に性器のかゆみがあったり、おりものの状態が普段と違ったりすると、性病ではないかと不安になるケースは多いものです。
性病の症状は風邪や生理不順など、他の病気と区別するのが難しく、専門的な知識が必要になります。
きっと大丈夫と思い込み放置していると、早期の治療が遅れて、生命に直結する健康被害を招く可能性もあります。
本記事は医療に詳しくない人でも、性病について専門知識を身に付けられるよう、性病の症状や特徴を解説しました。
- 性病は病気によって潜伏期間の長さが異なる
- 免疫反応は時間差で起こるため、潜伏期間中は自覚症状がない
- 女性が感染する可能性が高い性病は、クラミジアや淋病、ヘルペスやHIV(エイズウイルス)などがある
- 潜伏期間が明けた後に見られる症状には、おりものの変化やかゆみ、下腹部痛や発熱などがある
- 症状がなくても潜伏期間中の検査により、早期発見や早期治療につながる
- 性病の検査は、性病科や婦人科などで受けられる
- 早期の検査はパートナーへの感染拡大を防ぐ
現在実際に症状がある人をはじめ、まだ症状がなくてもパートナーに不安のある人、正しい知識を身に付けたい人は必ず読んでほしい内容です。
女性が性病に感染した場合の病気ごとの潜伏期間について知識を身に付ける

女性が性病に感染した場合、自覚症状が現れるまでの潜伏期間は病気ごとに異なります。
以下に女性が感染する可能性が高い性病の潜伏期間を、病気ごとにまとめました。
病名 | 潜伏期間 |
---|---|
クラミジア感染症 | 1〜3週間 |
淋菌感染症(淋病) | 2〜7日 |
梅毒 | 約1か月 |
性器ヘルペス | 3〜7日 |
HIV感染症 | 2〜4週間 |
潜伏期間を理解していないと検査を受けても偽陰性という、感染していても検査結果が陰性になる可能性もあるため、ここで理解しておきましょう。
免疫反応は遅れて起こるため潜伏期間中は症状がないと理解しておく
潜伏期間中に自覚症状が見られないのは、免疫反応が遅れて起こるという身体のメカニズムが関係しています。
外敵から身体を守る人間の免疫は、病気の原因となる細菌やウイルスを敵と認識してから、それを攻撃する小さなタンパク質を作り始めます。
この小さなタンパク質を抗体といい、抗体ができるまでに少し時間を要するのです。
他にも、潜伏期間中に症状がない理由は2つあります。
- 感染したばかりの頃は、病原体の数が少ない
- 子宮の入り口や尿道の奥など、普段は痛みを感じない場所に感染する
一番大切なのは、潜伏期間中でも他の人にうつす可能性がある点です。
症状が出ていないから安全なのではなく、不安な行為があった場合は、症状を待たずに検査を受けましょう。
女性が感染する主な性病の初期症状を学習して早期発見に努める
先述の内容で潜伏期間について理解したうえで、潜伏期間が明けた後に現れる症状にはどのようなものがあるのか解説します。
現在自覚症状がある人は、以下の内容を必ずチェックし、少しでも不安があれば早期に病院受診してください。

病名 | 初期症状 |
---|---|
クラミジア感染症 | ・白や黄色っぽいおりものの増加 ・軽い下腹部の痛みや性交時の痛み ・軽い痛みやしみる感覚など、排尿時の違和感 |
淋菌感染症(淋病) | ・黄色〜緑色のおりものが増える ・下腹部の軽い痛み ・排尿時の違和感や軽い痛み |
性器ヘルペス | ・陰部の小さな水ぶくれやただれ ・かゆみやヒリヒリ感 ・軽い発熱、だるさ |
梅毒 | ・痛みのないしこり ・リンパ節の腫れ |
HIV感染症 | ・発熱、だるさ、のどの痛み ・全身のリンパ節の腫れ ・発疹、下痢などインフルエンザのような症状 |
パートナーへの感染を防ぐために症状がなくても検査へ前向きな姿勢を示す
パートナーへの感染を防ぐためには、症状がなくても検査を受ける前向きな姿勢が必要です。
性病は潜伏期間中や初期の段階では、症状がほとんど現れない場合が多く、自分では気付かないまま感染している可能性があります。
特にHIVは感染した直後にウイルスが急増し感染力が高まり、クラミジアや淋病は潜伏期間中から分泌液に病原体がいて、性行為で相手に感染します。
身体への悪影響を最小限に抑えるためにも、症状がない場合も検査を受けて、早期発見や早期治療に努めるのが大切です。
知らない間にパートナーにうつしてしまう可能性を理解して、早めに検査しましょう。
適切なタイミングで性病科や婦人科の検査を受けて正しい診断を得る
インフルエンザなどと同様に、早期検査が重要でも適切なタイミングで行われなければ、正しい結果が得られない可能性があります。
そのためここでは、正しい検査のタイミングを状況別に説明します。
状況 | 推奨タイミング | 解説 |
---|---|---|
新しいパートナーと性交渉した後 | 性交渉から1〜5週間程度 | 潜伏期間を過ぎると検査の精度が上がり、クラミジアや淋病など短い潜伏期間の病気は2〜3週間後が目安 |
性交渉後に症状が出たとき | 症状が出たらすぐに | 潜伏期間を過ぎているため、早めの受診が重要 |
定期的にチェックしたい場合 | 年1回程度 | 無症状でも感染している場合があるため、予防的に受診 |
妊娠を希望するとき | 妊娠前 | 胎児への感染を防ぐため、事前にクラミジアや梅毒、HIVなどを検査しておく |
性病検査を受けられる場所は、主に3箇所あります。
- STD(性感染症)外来などの性病科
- 婦人科
- 保健所
性病科は性感染症の診断や治療に特化しており、婦人科は女性特有の感染症やおりもの異常を相談できるのが特徴です。
参考:
性感染症(STI)
性感染症治療ガイドライン、2021年 |MMWRの
潜伏期間中に不安を感じたら1人で抱え込まずに医療機関へ相談する

性病かもしれないと思ったときは、1人で抱え込まずに保健所や病院へ相談するのが大切です。
特に潜伏期間中は症状がなく、自分が性病なのではという不安が強くなります。
加えて性病は、友人や家族に相談するにも心理的ハードルが高く、不安や恐怖がより増強します。
ストレスを減らすためにも、不安を感じた際は以下4つの行動を実践してください。
- 誰にも相談せず抱え込むと、ストレスや心配が大きくなるため、相談できる人に相談する
- 症状がなくても、医師に状況を伝えると気持ちが楽になるため、専門家や医療機関に相談する
- 潜伏期間を考慮して、いつ検査を受けるのが正確かを確認する
- 本記事など、信頼できる情報源を活用して参考にする
潜伏期間中は、症状がなくても不安になるのは自然な反応です。
不安を解消しつつ、早期発見と早期治療に努めましょう。
性病の潜伏期間を正しく理解し早期の対応に取り組みましょう!
パートナーに不満を抱えている人や新しい恋人と付き合い始めた人など、さまざまな場面で性病のリスクが潜んでいます。
性病の潜伏期間は病気ごとで大きく異なり、数日と短期間のものもあれば、数週間から数か月と長期間に及ぶものまであります。
特に気を付けなければならないのは、潜伏期間中でも感染力があり、自覚症状がないままパートナーにうつしてしまう可能性です。
そのため、本記事を通して性病の潜伏期間やリスクを把握する必要があります。
現在性病の不安を感じている人に限らず、予防的観点からも正しい知識を身に付け、潜伏期間を意識した適切な行動で不安を解消してください。