おりものが黄色いときに考えられる原因はこれ!症状別にやさしく解説

おりものが黄色くなる原因とは 症状別にやさしく解説

おりものの色やにおいは、生理周期妊娠といったライフステージなどによって変化します。

仮に黄色いおりものが見られたとしても、それが妊娠中期から後期の出来事なら正常な場合も多いです。

おりものの状態が正常か否かを正しく判断するために、正しい知識は欠かせません。

本記事では、おりものが黄色い場合に考えられる疾患や背景、気を付けるべき点などを医学的視点からやさしく解説します。

この記事でわかること
  • おりものは通常、無色から白色でサラッとした粘液状が多い
  • ホルモンバランスや排卵周期、年齢によっておりものの性状は変化する
  • おりものが黄色く見えるのは、下着に付いたときの酸化の影響もある
  • 黄色いおりものは、細菌性膣症などの感染症が関与している場合もある
  • 痛みや痒み、下腹部の違和感などを伴う場合も多い
  • 症状が強かったり急に発現したりした場合は病院受診の検討が必要
  • デリケートゾーンの洗いすぎや通気性の良い下着をつけるなど、日頃のケアが重要
  • おりものの性状を日頃から記録しておくと、変化の早期発見につながる

今のおりものの性状に不安を感じている人、時折黄色いおりものが見られるなどの不安がある人は、本記事を通して適切な対応を心がけましょう。

目次

おりものの役割と状態が変化する理由を知る

黄色いおりものが出る理由を理解する前に、ここではおりものの基本情報について整理しておきます。

おりものとは子宮や膣から出てくる、透明や白っぽい液体のことです。

身体の防御や妊娠の手助けなど、女性の健康維持において重要な役割を果たしており、具体的には以下の働きを通して女性の身体を守っています。

おりものの主な役割
  • 雑菌が身体の中に入らないようにする
  • 膣の中を洗い流して清潔に保つ
  • 排卵のときに、精子が子宮まで行きつく手助けをする
おりものの状態の変化 影響を与える要素と性状

おりものの状態は日々変化し、生理周期妊娠年齢ホルモンバランスによる影響を受けます。

それぞれがどのように影響を与えるのか、以下表で簡単にまとめました。

おりものの状態が正常かどうか、参考にしてみてください。

影響を与える要素時期とおりものの性状
生理・生理後は少なめでさらさら。
・排卵前は量が増えて、透明。
・排卵後は白っぽく、少し粘り気がある。
・生理前は少し黄色や、にごった色になる。
妊娠・妊娠初期は白っぽく、量が少し増える。
・妊娠中期から妊娠後期は、量がさらに増え、水っぽく感じる人もいる。
年齢・40代から更年期は、量が少なくなる。
・閉経後は、おりものがほとんど出ない。
ホルモンバランス・女性ホルモンが増えると、おりものの量が増える。
・女性ホルモンが減ると、おりものの量が減る。

参考:The innate immune system: gatekeeper to the female reproductive tract
Timing intercourse to achieve pregnancy: current evidence
NHS「Vaginal discharge in pregnancy」
NHS「Vaginal dryness」

おりものが黄色く見える場合の特徴を知り正常な状態を見分ける

正常なおりものの状態について理解したうえで、次はおりものが黄色く見える場合の特徴異常かどうか見分ける方法を説明します。

淡いクリーム色や、薄い黄色のおりものは見た経験がある人が多いのではないでしょうか。

ひとえに黄色いおりものといっても、薄いものから濃いものまで幅があり、以下の場合は正常である可能性が高いです。

原因特徴
酸化空気や下着に触れて酸化し、白から透明だったものが黄色っぽく見える場合がある
排卵前後、生理前ホルモンの変化で粘度や色が変化し、やや黄みがかったおりものが出る場合がある
妊娠初期、妊娠中薄黄色のおりものが出る場合がある

おりものの異常性を見極めるには、色だけでなく粘度におい体調の変化にも注目しなければいけません。

特ににおいや痒み、体調の変化がある場合はその裏に感染症などの病気が隠れている可能性もあり、違和感に気付いた際は早めの受診が必要です。

参考:Current evaluation and management of vulvovaginitis
Mucus observations in the fertile window: a better predictor of conception than timing of intercourse
Antimicrobial resistance associated with the treatment of bacterial vaginosis

黄色いおりものの主な原因と考えられる背景を知り早期発見に努める

おりものが黄色くなる原因は2通り

おりものが黄色くなる原因は2通りで、生理的変化によるものと、感染症などの病気によるものがあります。

生理的変化によるものは、妊娠中や生理周期など、ホルモンの変化によって黄色いおりものが見られる場合があります。

この場合は、においや痒みなどがないなら、特に問題はありません。

一方で感染症などの病気は、細菌性膣炎トリコモナス膣炎カンジダ症などがあります。

黄色や黄緑色のおりものに悪臭や痒み、痛みも伴っている場合は、医療機関を受診してください。

以下では生理的変化が原因の場合と、感染症などの病気が原因の場合のおりものの特徴をまとめました。

黄色いおりものの原因が生理的変化であった場合の特徴を知る

黄色いおりものが見られても、生理的な反応によるもので正常と判断できる場合には、以下の特徴があります。

原因理由特徴
排卵期や生理前後エストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が変動して、おりものの量や粘度、色が変化する。粘り気のある黄白色から黄色っぽいおりもの
古いおりものや経血おりものや少量の経血が、下着や空気に触れて酸化し、白や透明だったものが黄色く変色する。乾燥した黄ばみが下着に付着する
妊娠初期や妊娠中黄体ホルモンという妊娠維持のために働くホルモンが増加し、膣の分泌物が増えて、色調がやや黄みを帯びる。薄黄色やクリーム色のおりもの

いずれにおいてもにおいや痒み、痛みがないなら生理的な変化と考えられ、過度に心配する必要はありません。

しかし、異常を感じる場合は不安を解消するためにも、婦人科を受診してください。

参考:Advances in the Prevention of Infection-Related Preterm Birth

黄色いおりものの原因が一部の感染症であった場合の特徴を知る

感染症などの病気が原因である場合のおりものには、以下の特徴が見られます。

それぞれ疾患ごとに特徴が異なるため、確認して早期発見に努めましょう。

疾患名におい性状や特徴
細菌性膣症灰白色から薄黄色生臭いにおい・痒みはあまりない
トリコモナス膣炎黄色や黄緑色強いにおいがある・泡立っている
・膣の痒みやヒリヒリ感がある
淋菌感染症黄緑色軽度のにおい・排尿時の痛みや不正出血、お腹の痛みを伴う場合もある
カンジダ症白っぽい無臭か、わずかに甘酸っぱいにおいがある・ヨーグルトやカッテージチーズのようなポロポロしたおりものがある
・強い痒みや腫れ、ヒリヒリ感がある


参考:産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023
Metabolic profile and disordered glycerophospholipid metabolism in recurrent vulvovaginal candidiasis

黄色いおりものに伴いがちなその他の変化や症状のチェックリストを活用する

黄色いおりものに伴う症状に注意 チェックリストを活用しよう

黄色いおりものに伴って起こりがちな症状としては、におい痒みなどがあります。

他にも発現する症状は多岐にわたるため、においや感覚的な変化を含めた、日常生活で気付けるサインを中心に一覧を作成しました。

現在のおりものの状態に不安を抱えている人、今後黄色いおりものが出た場合は、チェックリストとして活用すると良いでしょう。

チェック項目内容
においの変化・いつもと違うにおいがする
・魚のようなにおいがする
・すっぱいにおいがする
痒みやヒリヒリ感・デリケートゾーンがかゆくなったり、ヒリヒリしたりする
下腹部の違和感・下腹が重い
・下腹部が少し痛い
排尿時の痛み・排尿時にピリッとした痛みを感じる
性交中の違和感・性交のときに痛みや不快感がある
性状の変化・いつもより粘り気がある
・泡っぽい
・量が多い
色の変化・黄色っぽい
・緑がかっている
・濁って見える
少しの出血がある・生理ではないのに下着に血がついている

黄色いおりもの以外にも症状が見られたときは医療機関へ相談するタイミング

チェックリストを利用して症状を確認した後、実際に医療機関の受診を検討した方が良い場合には、どのようなケースがあるのかを説明します。

以下のような状態は、医療機関への相談を考える目安として認識しておきましょう。

  • おりものの色やにおいが急に変わったとき
  • 強いにおいや不快感が続くとき
  • 痒みや痛み、出血など他の症状があるとき
  • 妊娠中や疾患の治療中など、体調に不安があるとき

自分で判断が難しい場合や不安なときも、躊躇せずに婦人科やかかりつけ医への相談を検討する目安の1つです。

さらに相談するときは、症状の発現時期継続期間などをメモしておくと、正確な診断に役立ちます。

具体的な日々のおりものの状態をメモする方法については、最後に紹介しているため、活用してみてください。

黄色いおりものを予防するには下着選びや日々の記録など自分でできるケアが大切

黄色いおりものは、生理的変化や感染症が原因で見られるため、日頃の意識的な行動により予防改善が可能です。

具体的な方法としては、以下3つのポイントがあります。

ポイント理由
1.下着は通気性の良いものを選び、毎日清潔なものに替える蒸れや細菌の繁殖を防ぐ
2.デリケートゾーンを洗いすぎない必要な常在菌まで洗い流さないようにする
3.おりものの変化を記録する婦人科を受診するときに役立つ

下着の清潔を保つために、ナプキンやおりものシートを使用している場合は、こまめに交換した方が良いです。

ストレス疲れもおりものに影響を与えるため、適度にリラックスできる時間をつくるなど、工夫をしていくと良いでしょう。

参考:Perceived Stress and Molecular Bacterial Vaginosis in the National Institutes of Health Longitudinal Study of Vaginal Flora

黄色いおりものについてよくある質問と正しい回答を把握する

よくある質問と回答 

次は黄色いおりものについてよくある質問と、その回答について医学的根拠をもとにまとめました。

黄色いおりものが見られたとき、不安からネット上で情報を調べる人は多いものの、その情報が本当に正しいかどうかまで選別できる人は少ないです。

ネット上の誤った情報を鵜呑みにせず、正しい対応ができるようにするためにも、以下の内容は必ず確認しておきましょう。

Q. 黄色いおりものが出たら、すぐに何かの病気でしょうか?

A. 一時的な変化やホルモンの影響で起きる場合もあります。色の変化に加えて、におい痒みなどの症状がある場合は、医療機関への相談が検討されます。

Q. 黄色と黄緑色の違いは重要ですか?

A. 色の感じ方には個人差があり、黄緑っぽさがある場合は感染症との関連が示唆される場合もあります。

Q. おりものが気になるとき、市販薬を使っても大丈夫?

A. 使用の前に、変化の原因の見極めが重要です。不安な場合は、使用前に医療機関へ相談してください。

おりもののセルフ観察ノートの活用方法を知り日々の健康状態を把握する

おりものは、あなたの身体の内部状態を映す、健康のサインです。

色や量、においや感覚の変化を日々記録しておくと、小さな体調の変化にいち早く気づけるようになります。

記録内容は、以下を参考にしてみてください。

記録項目内容
透明や白色、黄色や緑っぽい色など
普段より多い、少ない
におい無臭や酸っぱい、魚のようなにおいや甘いにおいなど
感覚痒みやヒリヒリ感、下着が湿る感じなど
生理周期のどの時期か排卵前、排卵後、生理直前

継続するのが大切なため、記録方法はスマホアプリやメモ帳、ノートやカレンダーなど自分が使い慣れている形で無理なく実践していきましょう。

おりものが黄色いときは色やにおいだけでなく体調の変化にも注目する

おりものが黄色いと感じたらいつもと違う体調の変化に注意

おりものは黄色っぽく見えるときがあるものの、すべてが異常というわけではありません。

ホルモンの変動や排卵後、生理前後の影響によって一時的に色が濃くなるなど、生理的な変化の範囲である場合も多いです。

ただし強いにおいや痒み、下腹部の違和感など、他の症状を伴う場合は気を付ける必要があります。

体調の変化やストレス、感染症などが背景に潜んでいる可能性もあり、軽視しない方が良いです。

少しでもいつもと違うと感じたら、記録を残しながら様子を見てください。

黄色いおりものが数日で改善しない場合や、症状が繰り返されるなら、早めに婦人科を受診してください。

本記事を通して日々のセルフケアや観察、記録などを習慣的に役立て、自分の身体と丁寧に向き合いましょう。

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