女性の性器ヘルペスの症状と感染経路そして正しい対処法を解説

性器ヘルペスとは?主な症状と対処法

性器ヘルペスは、主に単純ヘルペスウイルス2型が原因で、性器とその周辺に水ぶくれなどの症状が出る性感染症です。

治療開始が遅れると、症状が悪化する恐れがあります。

今回は、女性の性器ヘルペスの症状感染経路、正しい対処法を解説します。

この記事でわかること
  • 女性が性器ヘルペスに感染する原因と、その特徴
  • 女性が性器ヘルペスを確認するためには、PCR検査が有用
  • 女性が性器ヘルペスを発症した際の最適な治療法は、抗ウイルス薬

自分が性器ヘルペスであるか知りたい人、適切な対処法や治療法を知り、早期に改善したい人は本記事を参考にしてください。

目次

女性が性器ヘルペスに感染する原因とその特徴を知る

女性の感染リスクが高い 直接的な接触に注意

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスにより引き起こされる性感染症です。

女性は、男性よりも感染リスクが高いといわれています。

主な感染経路は性行為による直接的な接触で、 オーラルセックスで相手に感染させてしまう場合もあります。

1度感染すると、ウイルスは体内の神経節に潜伏し、完全な排除はできません。 

ストレスや免疫力の低下により、再発する可能性があります。

無症状でもウイルスが皮膚や粘膜に出ている場合があるため、パートナーに感染させる恐れがあります。

アメリカのワシントン大学では、144組のカップルを対象に、性器ヘルペスの性的感染リスクを調べる実験が行われました。

その結果、性器ヘルペスのパートナーへの感染の約7割が、症状の自覚がない時に起きたとの報告がありました。

パートナーと性行為をする際は、オーラルセックスを含め、コンドームを使用しましょう。

症状が現れている間は、パートナーへの感染リスクを高めます。

そのため、性的な接触は控えてください。

参考:性器ヘルペスの性的感染の危険因子

性器ヘルペスは女性の性器のかゆみや水疱などの症状として現れる

性器ヘルペスは、女性の性器に水ぶくれや赤いブツブツ、皮膚のただれなどの症状が現れます。

特に初感染時で症状が重くなる傾向があり、主に下記の症状が見られます。

性器ヘルペスの主な症状
  • ひりひり感や痛み、むずがゆさ
  • 赤いブツブツや水ぶくれ、皮膚のただれ
  • 排尿時の、激しい痛み

性行為などで感染してから、2~10日の潜伏期間を経て発症します。

症状のピークは1週間前後で、外陰部の強い痛みやかゆみを伴う小さな水ぶくれが現れるのが特徴です。

数日後水ぶくれが破れて皮膚のただれになり、38℃以上の発熱がある場合もあります。

さらに足の付け根のリンパ節が腫れたり、排尿が困難になったりして歩行できなくなるケースも少なくありません。

ウイルスは外陰部だけでなく、膀胱や子宮などにも影響を及ぼします。

ウイルスが髄膜にまで達して髄膜炎を引き起こす可能性もあり、強い頭痛や尿が出なくなるなどの症状が現れます。 

適切な治療を受けると、回復まで1週間程度です。

女性の性器ヘルペスの症状は、発症後数週間で自然に回復しますが、ウイルスは体内に潜伏し続けます

女性が性器ヘルペスを確認するためにはPCR検査が有用である

PCR検査で早期発見へ 適切な治療で重症化を防ぐ

女性の性器ヘルペスの迅速診断法として、PCR検査が有用です。

綿棒で潰瘍をこすってサンプルを採取し、ウイルスの遺伝子を増幅して検出します。

高い感度と特異度を持ち、感染初期の段階でもウイルスを検出できるため、迅速な診断が可能です。

早期の治療の開始により、症状の重症化を予防します。

少量のウイルスでも検出が可能で、偽陰性や偽陽性のリスクを低減できるメリットもあります。

性器ヘルペスは、性感染症外来皮膚科婦人科など医療機関で検査が可能です。

症状がある場合や感染の可能性がある場合は、早めに医療機関に相談し、適切な検査と治療を受けましょう。

参考:日本性感染症学会誌

性器ヘルペスは性交渉を伴う女性から女性への感染リスクがある

性器ヘルペスは、性交渉を伴う女性から女性への感染リスクがあります。

ウイルスが、皮膚や粘膜の直接的な接触を通じて広がるためです。

性器ヘルペスのウイルスは、感染者の皮膚粘膜に存在します。

そのため、性的接触時に互いに触れ合うと、ウイルスが相手に移る可能性があります。

感染症状が見られない状態でも、ウイルスが体外に排出されている場合があるので、下記の点に注意してください。

  • コンドームを使用する
  • デンタルダムなどのバリア方法を使用する

口唇ヘルペスを持つ人がオーラルセックスを行い、性器ヘルペスを引き起こすケースもあります。

コンドームやデンタルダムなどのバリア方法を使用すると、ウイルスの広がるリスクを低減します。

デンタルダムは、オーラルセックス時に性感染症のリスクを軽減するために使用される、薄いシートです。

症状が現れている期間中は、性的接触を控えると感染リスクを低減します。

定期的に健康診断性感染症の検査を受けて、早期発見と適切な対応をしましょう。

女性から女性への、性器ヘルペスの感染リスクの予防につながります。

女性が性器ヘルペスを発症した際の最適な治療法は抗ウイルス薬

最適な治療法は抗ウイルス薬 初期の治療がより効果的

女性が性器ヘルペスを発症した際は、抗ウイルス薬による治療が最適です。

理由を、下記で3つ紹介します。

  • 症状を軽減させ、回復を促進する
  • 再発時に、回復を早める
  • 再生抑制療法で、再発を予防する

抗ウイルス薬は、ヘルペスウイルスの増殖を抑える効果があります。

痛みやかゆみ、水ぶくれなどの症状が軽減され、回復が早まります。

発症初期に服用を開始すると治療効果が高まるため、症状が見られたら早めの受診が重要です。

性器ヘルペスは再発する場合があり、患部の違和感やチクチク感などの前兆が現れます。

速やかに抗ウイルス薬を服用すると、症状の重症化を防ぎ、回復を早めます。

頻繁に再発を繰り返す場合、抗ウイルス薬を長期間にわたり毎日服用する再発抑制療法が有効です。

再発の頻度を減少させ、生活の質の向上が期待できます。

上記の理由から、性器ヘルペスの治療には抗ウイルス薬が効果的です。

症状が現れた場合や再発の兆候を感じた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

女性の性器ヘルペスは完治しないがコントロールは可能

性器ヘルペスは完治しない疾患 症状をコントロールする方法とは

性器ヘルペスは完治しないといわれていますが、抗ウイルス薬ストレス管理で症状を抑えられます。

再発時の速やかな抗ウイルス薬の服用は、症状の悪化を防ぎ、早い段階で回復が可能です。

再発を頻繁に繰り返す場合、抗ウイルス薬を毎日服用する、再発抑制療法が有効とされています。

十分な休息やバランスの取れた食事、ストレス管理などの生活習慣の改善も重要です。

免疫力を維持するために、毎日7〜8時間の睡眠の確保を意識してください。

野菜やタンパク質、炭水化物をバランス良く摂取すると免疫細胞が活性化され、体の防御力を高めます。

特に、ビタミンCビタミンE亜鉛などは免疫機能に重要な役割を果たしています。

ブロッコリーやほうれん草などのビタミンを含む食材や、牛肉や納豆など亜鉛を多く含む食べ物を取りましょう。

加工食品やインスタント食品の摂取を控え、新鮮な食材を使った食事への意識をもつのも重要です。

性器ヘルペスは完治はしないものの、適切な治療と生活習慣の見直しにより、症状をコントロールできます。

女性が性器ヘルペスの再発を予防するためにはストレス管理が重要

女性が性器ヘルペスの再発を予防するためには、ストレス管理が重要です。

ストレスは免疫システムに影響を及ぼし、免疫力を低下させる場合があります。

さらに免疫力の低下により、体内に潜伏しているヘルペスウイルスが再活性化し、再発を引き起こす可能性が高まります。

効果的なストレス管理を行うと再発リスクを低減できるうえ、以下の方法が有効です。

ストレス管理の方法
  • 質のよい睡眠を取る
  • 適度に運動を行う
  • 瞑想や深呼吸などのリラクゼーションを行う

質の良い睡眠は免疫機能を維持し、ストレスを軽減します。

厚生労働省は良質な睡眠の環境づくりにおいて、下記の方法を推奨しています。

  • 日中に日光を浴びて、体内時計を整える
  • 寝室を適温に調整する
  • 有酸素運動を行い、睡眠休息感を高める

日中に日光を浴びると夜間のメラトニンの分泌量が増えて、入眠が促進されます。

寝室にはスマートフォンを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ましょう。

スマートフォンや照明から出るブルーライトは、体内時計に強い影響を与えます。

寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、寝る1〜2時間前に入浴してください。

具体的には、38℃から40℃のぬるめのお風呂に15分つかると、スムーズに入眠できます。

運動も合わせて行うと、ストレス解消や免疫力向上に効果的です。

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、睡眠休息感を高めると報告されています。

瞑想や深呼吸などのリラクゼーションは副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせます。

音楽やアロマ、筋弛緩法など自分に合ったリラックス方法を見つけてください。

ストレスを避け、十分な睡眠を確保し、免疫力を高めると再発予防につながります。

 医師の指導に基づく、抗ウイルス薬の服用も効果的です。

参考:健康づくりのための入眠ガイド

女性の性器ヘルペスと妊娠におけるリスクと注意点を知る

妊娠時のリスクと注意点 新生児ヘルペスへの対策

妊婦が性器ヘルペスに感染している場合、出産時に下記のリスクと注意点があります。

出産時のリスクと注意点
  • 妊娠後期に感染すると、分娩時に新生児ヘルペスを発症するリスクが高まる
  • 新生児への感染予防のために、帝王切開が推奨される
  • 再発性ヘルペスは病変があると、分娩時に新生児ヘルペスの感染リスクが高まる

妊娠30〜40週でヘルペスに初めて感染した場合、分娩時に新生児ヘルペスを発症するリスクが高まります。

初感染した母体は単純ヘルペスに対する免疫が不十分であり、新生児をウイルスから守れないためです。

初感染の性器ヘルペスでは産道にウイルスが存在しており、分娩時に新生児が産道を通る際に感染するリスクを高めます。

新生児ヘルペスは、肝機能障害脳炎などの重篤な症状を引き起こす可能性がある病気です。

妊婦がヘルペスに感染している際は、新生児への感染を防ぐために帝王切開が推奨されます。

妊娠後期の初感染や出産時の病変の有無に注意し、医師と相談の上、最適な分娩方法を選択してください。

妊娠中に性器ヘルペスを発症しても、妊娠の継続や出産は可能です。

胎児への影響も基本的にはないため、必要以上に不安になる必要はありません。

女性が性器ヘルペスの正しい知識を得ると重症化を予防できる

性器ヘルペスは完治しない疾患といわれていますが、正しい知識と対策で症状を抑えられます

水ぶくれや赤いブツブツ、皮膚のただれなどが見られる際は、早めに医療機関に相談してください。

PCR検査による迅速な診断は早期の治療開始につながり、症状の重症化を予防できます。

ヘルペスの症状が現れている間は、感染予防のためにパートナーとの性的な接触は控えてください。

性器ヘルペスは、抗ウイルス薬やストレス管理で、症状を抑えられます。

十分な睡眠や適度な運動は免疫力を高め、ヘルペスの再発予防にもつながります。

新生児ヘルペスを防ぐために、妊娠中の性交渉はコンドームなどを使用し、オーラルセックスは避けましょう。

性器ヘルペスの症状で困っている人は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。

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