女性の抜け毛には、ホルモンバランスの乱れやダイエット、ストレス、出産、生活習慣の乱れなど様々な原因が絡んでいることがあります。
特に、40代や50代に差し掛かると、更年期によるホルモンバランスの変化が抜け毛の進行を促進することも少なくありません。
女性の抜け毛を対策するためには、原因を見極め、自分の頭皮に合った適切なケアを行うことが重要です。
この記事では、女性に多く見られる抜け毛の原因を詳しく解説し、効果的な対策方法を12選にまとめてご紹介します。
- 女性ホルモンの低下・ホルモンバランスの乱れ
- 無理なダイエット・栄養不足
- 過度なストレス
- 生活習慣の乱れ・睡眠不足
- 出産に伴うホルモン変化
- パーマやカラー剤・紫外線
- 強く髪を引っ張るようなヘアスタイル
- 季節の移り変わり
- 病気の可能性
- 栄養をバランスよく摂取する
- 頭皮環境を清潔に保つ
- 健康的な生活習慣
- 十分な睡眠時間
- 髪や頭皮の紫外線対策
- 適度な運動やマッサージによる血行促進
- 頭皮に合ったシャンプー・ヘアケアアイテム
- 正しい洗髪方法・ヘアケアを取り入れる
- 濡れた髪は素早くドライヤーで乾かす
- カラーやパーマなど髪へのダメージが強いケアを控える
- 同じ髪型・結び方を継続しない
- 女性用育毛剤などを使った頭皮ケアを取り入れる
例えば、適度な運動やマッサージで血行を促進すること、頭皮に合ったシャンプーやヘアケアアイテムを選ぶこと、バランスの良い食事を心がけることなどが、効果的な対策として挙げられます。
さらに、抜け毛予防に役立つ栄養成分やおすすめの食材についても詳しく解説し、健康的な髪を育てるための具体的なアドバイスをお伝えします。
また、抜け毛がひどい場合は、専門機関に相談することも選択肢に入れましょう。
抜け毛の原因によって対応する専門機関が異なるため、悩みに応じた専門機関の選び方もご紹介します。
髪の健康を取り戻すために、早めに対策することが大切です。
この記事を参考に、今から始められる対策を見つけ、少しずつ実践していきましょう。
女性の抜け毛の原因として考えられる9つのポイント
女性の抜け毛に多いのは、「びまん性脱毛症」と呼ばれる脱毛症です。
びまんとは「一面に広がる」という意味で、一部分のみ抜け毛が進行する男性型脱毛症(AGA)とは異なり、頭皮全体で抜け毛が進行することが特徴です。
頭皮全体の抜け毛が進行し、髪のボリュームが減っていく症状を総じてびまん性脱毛症といいます。
びまん性脱毛症の原因は主に以下の2つです。
- 休止期脱毛症
- 加齢変化によるもの
休止期脱毛症とは、ヘアサイクルの休止期にいる毛の割合が増え、抜け毛が増える症状です。
髪の毛1本1本は成長期・移行期・休止期という一定の周期を繰り返して生え変わっており、通常、脱毛が起こる休止期の毛は全体の7〜13%です。
休止期脱毛症では出産や発熱、外科手術、無理なダイエット、栄養不足、薬剤などが原因となり休止期毛が増加するため、抜け毛が大量に増えます。
休止期脱毛症には種類がいくつかあり、症状や原因が異なります。
- 急性休止期脱毛症:一時的に抜ける(精神的ストレス、高熱、手術、出産など)
- 慢性休止期脱毛症:半年以上かけて進行(無理なダイエット、栄養不足、病気、薬剤の影響など)
- 慢性びまん性脱毛症:比較的後年で10年以上かけて進行(上記の原因がない場合)
加齢によって女性ホルモンの分泌量が低下することが原因の抜け毛もびまん性脱毛症の一種で、「FAGA(女性型脱毛症)」と呼ばれます。
また、不規則な生活や運動不足などによる頭皮の血行不良や、不適切な頭皮ケア、過度なヘアカラーやパーマによる頭皮トラブルなども抜け毛の原因となる場合があります。
さらに、頭皮に負担をかけるような髪型を毎日していることによって引き起こる「牽引性脱毛症」、甲状腺機能などの病気に関連して生じる「円形脱毛症」など様々な種類の脱毛症が存在します。
このように、女性の抜け毛の原因は多岐にわたり、複数の原因が組み合わさっている可能性も考えられます。
最近の生活習慣やストレスレベル、体調の変化などを振り返り、自分に当てはまる原因を見つけることが、適切な対策を講じるための第一歩です。
以下では、女性全般に多い抜け毛の原因について詳しく解説します。
女性ホルモンの低下・ホルモンバランスの乱れは抜け毛の原因となりうる
女性の抜け毛の一因として、女性ホルモンの低下やホルモンバランスの乱れが挙げられます。
女性ホルモンには主に「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つがあり、月経と連動して一定の周期で分泌量が増減します。
この分泌が正常に行われなかったり、増減のサイクルが変化したり、分泌量が減ったりする状態がホルモンバランスの乱れです。
髪の健康維持に関わるのはエストロゲンで、以下のような役割があります。
- 妊娠の準備
- 女性的な体づくり
- 自律神経の安定
- 骨量を保持する
- コレステロールのバランスを整える
- 妊娠の維持など
女性ホルモンの低下は、主に加齢が原因です。
特に更年期になると、エストロゲンの分泌が急激に減少し、体の不調や抜け毛・薄毛が目立つ方が多くなります。
しかし、更年期以外でも妊娠・出産、ストレスなどでホルモンバランスが乱れることにより、20代や30代の女性でも抜け毛が生じる場合があります。
ホルモンバランスの乱れは認識しにくい症状であり、ホルモンが増えたり減ったりすることで体のどこかに影響が出ることで気付くことがほとんどです。
無理なダイエット・栄養不足は慢性休止期脱毛症を伴うケースがある
無理なダイエットや不規則な生活習慣による栄養不足は、「慢性休止期脱毛症」と呼ばれる脱毛症を伴うことがあります。
慢性休止期脱毛症は、休止期に入る毛髪の割合が増加することで引き起こされる休止期脱毛症の一つで、半年以上かけてゆっくりと抜け毛が進行することが特徴です。
軟化毛を伴わず頭部全体にざらざらとした毛が増える場合、慢性休止脱毛症の疑いがあります。
慢性休止脱毛症の原因は全身疾患との関連が多く、主に以下のような原因が考えられています。
- 急激な減量による無理なダイエット
- 栄養不足(鉄欠乏症)
- 薬剤の使用による影響
- 甲状腺機能の病気
- 肝臓や腎臓の病気、悪性腫瘍など
※参照:植木 理恵,髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-,順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
無理なダイエットによって体の健康維持に必要な栄養素の補給が不足することで、髪を作るための栄養が不足し、休止気脱毛症を引き起こす可能性があります。
過度なストレスによって急性休止期脱毛症を引き起こす可能性がある
過度なストレスは女性の抜け毛の一因となることが多く、特に「急性休止期脱毛症」という脱毛症状を引き起こす可能性があります。
急性休止期脱毛症とは、精神的ストレスや身体的ショックが原因で、髪の成長期が早期に終了し、毛髪が休止期に入ることで、短期間に大量の抜け毛が発生する状態です。
- 精神的ストレス
- 高熱
- 外科手術
- 栄養不良
- 大量出血
- 出産後脱毛
- ピル中止後などの脱毛
※参照:植木 理恵,髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-,順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
急性休止期脱毛症は、強いストレスを感じた数か月後に突然髪が抜け始めることが多く、普段は気にしていなかったストレスが遅れて影響を及ぼす場合があります。
ただし、急性休止期脱毛症は一時的であり、原因が解消されると通常のヘアサイクルに戻ることもあります。
女性は特に結婚や出産などライフステージの変化による生活環境の変化によって日々のストレスが溜まりやすい傾向があるため、注意が必要です。
生活習慣の乱れ・睡眠不足も抜け毛の原因として考えられる
生活習慣の乱れや睡眠不足は、女性の抜け毛の原因として大きな影響を与える要因です。
特に、喫煙や飲酒、過剰な脂質の摂取などの悪い生活習慣や睡眠不足は頭皮の血行不良などを引き起こし、抜け毛を促進する可能性があります。
生活習慣の乱れ
タバコに含まれるニコチンは毛細血管を収縮させるため、喫煙によって頭皮の血流が悪くなる可能性が高まります。
また、脂っこい食べ物などを食べ過ぎて脂質を過剰に摂取すると、血液中の脂肪分が増加し、血行不良を引き起こすことがあり、東京医科歯科大学の研究では、「高脂肪食の過剰摂取により薄毛や脱毛が促進される」との結果も発表されています。
頭皮の血行不良になると毛根に栄養が行き渡りにくくなるため、抜け毛の一因となります。
さらに、過度の飲酒も抜け毛の原因となり得るため注意が必要です。
アルコールの分解には大量の亜鉛が消費されるため、亜鉛不足が生じると髪の主成分であるケラチンたんぱく質の合成が減少します。
たんぱく質は体の健康にも必要な栄養素のため、不足すると髪まで十分に栄養が行き届かず、抜け毛が増えることが考えられます。
睡眠不足
睡眠不足の状態が続くと自律神経のバランスが乱れ、交感神経の活動が優位になることで頭皮の血行不良を引き起こす場合があります。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」の2つのバランスによって保たれており、睡眠不足により交感神経が優位になると、血管が収縮されて血行不良や冷え、コリ、だるさなどの状態が起こります。
- 交感神経:活動時に優位になる。心拍数や血圧を上げて、血管は収縮する。
- 副交感神経:睡眠中や食事中に優位になる。心拍数や血圧を下げて、血管を拡張して体内に血液を供給する。
また、睡眠中には成長ホルモンが分泌され、IGF-1(インスリン様成長因子1)という髪の成長に重要な物質が生成されますが、睡眠不足だとIGF-1の生成が十分に行われなくなります。
IGF-1(インスリン様成長因子1)は細胞分裂を引き起こす物質で、体内の組織を機能させるために重要な役割を果たしています。
髪の成長にも深く関わっており、以下のような働きをします。
- 毛母細胞の増殖を促進
- 血行改善
- たんぱく質の合成を促進
- 性ホルモン分泌増加
参照:岡嶋 研二, “百薬の長”の効能のメカニズムを探る, 日本醸造協会誌, 105巻・5号,p.285-293(2010-05)
このように、睡眠中には髪を成長させるための複数の働きが行われており、睡眠不足は抜け毛を促進する原因となります。
出産に伴うホルモン変化によって抜け毛が起こりやすくなることがある
出産後の女性は、ホルモンバランスが大きく変化するため、抜け毛が起こりやすくなります。
女性ホルモンは主に「プロゲステロン」と「エストロゲン」の2種類のバランスで成り立っており、妊娠中には女性ホルモンが増加し、髪の毛が抜けにくくなります。
しかし、出産後には女性ホルモンが急激に低下するため、妊娠中に抜けなかった髪の毛が一気に抜け落ちます。
さらに、このホルモン変化によって髪が成長期から休止期に移行しやすくなり、多くの髪が一度に抜け落ちることがあります。
これが「産後脱毛症」と呼ばれる現象で、休止期脱毛症の一つです。
産後脱毛症による抜け毛は一時的なもので、通常は6ヶ月〜1年程度で元のヘアサイクルに戻ります。
しかし、産後の体調や育児によるストレスが影響し、回復が遅れる場合もあります。
妊娠中は女性ホルモンのプロゲステロンとエス トロゲンが増え髪の毛が抜けにくくなるが,産後は急激に女性ホルモンが低下するため,妊娠中に抜けなかった髪が一気に抜け,さらにヘアサイク ルの休止期に入ることで一時的に薄くなる.
引用元:居原田 麗, 妊娠と美, 女性心身医学,2016 年 21 巻 3 号 p. 290-294
パーマやカラー剤・紫外線によるヘアダメージに注意
パーマやカラー剤などの人工的なヘアダメージの他、紫外線が髪や頭皮にとって刺激となり、結果として血行不良や頭皮トラブルによる抜け毛を伴うことがあります。
パーマやカラー剤
パーマやカラー剤はアルカリ性や酸化剤などの強力な薬剤を使用しており、髪や頭皮に負担をかけます。
髪のキューティクルが損傷して乾燥しやすくなるだけでなく、頭皮に付着すると炎症やフケ、かゆみなどの頭皮トラブルを引き起こす場合があり、結果的に薄毛の原因になる可能性が考えられます。
特に、一度でしっかりと染められるヘアカラーや白髪染めなどは、染毛力に優れている反面、酸化染料が頭皮のかぶれの原因になる場合があるため注意が必要です。
酸化染料はアレルギー性接触皮膚炎のポテンシャルが高いことが知られており 14, 15),アレルギー反応を起こす可能性を事前に試す皮膚アレルギー試験(パッチテス ト)の実施が推奨されている。
引用元:伊藤 隆司, 頭髪用製品とその作用, 日本香粧品学会誌,2019 年 43 巻 3 号 p. 199-208
紫外線
紫外線も髪と頭皮に悪影響を及ぼす可能性があります。
髪への影響では、紫外線によって髪のキューティクルがはがれ、髪内部の組織にもダメージを与え、髪のツヤが失われてパサつきが引き起こります。
資生堂の研究によると、キューティクルがダメージを受けた髪の毛は、髪内部のたんぱく質が流れ出てしまい、枝毛や切れ毛などに繋がります。
頭皮への影響では、紫外線によって頭皮の炎症や乾燥が引き起こされ、血行不良や頭皮トラブルによる抜け毛を伴う可能性があります。
また、紫外線は活性酸素を発生させ、酸化ストレスにより頭皮の老化を進める原因にもなるため、強い紫外線を長時間浴びないよう注意が必要です。
活性酸素は,周囲組織に無差別に酸化的組織傷害を与える反応性の高い酸素種であるが,絶えず酸素に接し,紫外線に曝露される皮膚はその絶好の標的臓器である
引用元:宮地 良樹, 皮膚の炎症と活性酸素, 日本皮膚科学会雑誌,1998 年 108 巻 8 号 p. 1015-
日常的なヘアスタイルによる頭皮の血行不良・頭皮トラブル
ポニーテールや高い位置でのおだんごなど、強く髪を引っ張るようなスタイルは、おしゃれで便利ですが、毎日続けると「牽引性(けんいんせい)脱毛症」という抜け毛が起こる可能性があります。
牽引性脱毛症はポニーテールやお団子、編み込み、三つ編みなど一定の髪型を続けることで起こりやすく、物理的な負荷や頭皮の血行不良によって抜け毛が増える症状です。
頭皮の毛細血管の収縮,頭皮筋緊張による頭皮の牽引性圧迫などによって,頭皮の血行不良及び薄 化が惹起されたことによる脱毛増加
引用元:梶間, 森, 矢野, 国安, 原田.脱毛症の鍼灸治療に関する基礎的, 臨床的研究 (I).全日本鍼灸学会雑誌.1992 年 42 巻 4 号 p. 308-318
また、頭皮の衛生状態が悪いと、フケや皮脂の過剰分泌が原因で毛穴が詰まり、炎症やかゆみなどのトラブルが発生しやすくなります。
毎日洗髪していない場合や適切な方法で洗えていない場合、髪の毛が濡れた状態で放置している場合などが考えられます。
頭皮トラブルが多い人ほど皮脂量が多く、皮脂由来の物質が髪の毛の成長を阻害するという研究結果も報告されています。
以上より皮脂由来物質等に起因する頭皮トラブルに伴い炎症性因子が亢進し,毛髪形成が遺伝子レベルで阻害されて新たに作られる毛髪のハリ・コシなどが低下することが示唆され,
引用元:江浜, 島田, 仲西, 萩原, 岩渕.頭皮トラブルが毛髪物性に及ぼす影響と植物由来エキスによるその予防.日本化粧品技術者会誌.2018 年 52 巻 1 号 p. 16-23
このような頭皮トラブルが続くと、健康な髪が育ちにくくなり、結果として抜け毛が増加する可能性があります。
季節の移り変わりにより生理的脱毛が見られることもある
女性の抜け毛の種類には、自然な現象によって誰にでも起きる「生理的脱毛」があります。
髪には一定の毛周期があり、成長期・移行期・休止期を繰り返しています。
- 成長期:毛根の細胞が活性化され髪が成長する
- 移行期:髪の成長が徐々に遅くなる
- 休止期:細胞が分裂をやめ、触るだけで抜けたり,新しい毛に押し出されて抜けたりする
髪が抜ける休止期の毛は全体の7〜13%を占め、1日あたり100本程度抜けることは正常な範囲の抜け毛です。
抜け毛の数は年間を通して一定ではなく、季節の変わり目には抜け毛が増えるといわれており、これも生理的脱毛に含まれます。
日本では生理的脱毛に季節変化も加わり,秋から冬にかけて脱毛数が増加することが知られている
引用元:植木 理恵, 髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-, 順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
秋は夏の暑さで毛根にダメージを受け、抜け毛が増えるとの説が有名です。
1日あたり100本程度の抜け毛が通常ですが、10〜11月には1日140本前後の抜け毛が一時的に見られたとの報告もあります。
本例では3月~4月に掛けて低値を示し,10月~11月では一日約140本前後と,一過性に急激に多く抜けている.秋にはよく毛が抜けると言われるが この女性の場合にも,その言葉が当てはまるよ うである.
引用元:服部 道廣, 養 毛 ・育毛剤の評価法, 順天堂医学,1992 年 37 巻 4 号 p. 595-600
季節の変わり目に抜け毛が増えた場合は、季節変化に伴う抜け毛の増加である可能性も考えられます。
甲状腺機能などの病気の可能性
甲状腺機能の病気や膠原病などの内科的な病気は、「円形脱毛症」を引き起こすことがあります。
円形脱毛症の原因は諸説ありますが、自己免疫機序に関連すると示唆されています。
- 甲状腺機能異常症
- アトピー性皮膚炎
- 尋常性白斑
- 膠原病(SLE)
- I型糖尿病
- APS-1
- ビタミンDや鉄欠乏
- 炎症性腸疾患
※参照:木下 美咲, 毛髪と全身・他臓器疾患, 杏林医学会雑誌,2018 年 49 巻 2 号 p. 163-167
なかでも甲状腺機能の病気は、円形脱毛症以外にも、半年以上かけて進行する慢性休止期脱毛症の原因にもなり得ます。
のど仏の下にある臓器を「甲状腺」といい、甲状腺で作られる甲状腺ホルモンは身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。
甲状腺ホルモンが過剰になる「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」は20〜30代女性に多く見られ、代表的な症状には汗が多く出る、脈が速くなる、疲れやすくなる、イライラする、落ち着かないなどがあります。
甲状腺ホルモンが不足する「甲状腺機能低下症(橋本病)」は30〜40代女性に多く、無気力、冷え、倦怠感、むくみ、うつ気分、月経異常など更年期症状と間違えやすい症状が多いことが特徴です。
このような症状を認識している場合は、病気に起因した抜け毛が疑われます。
なお、甲状腺機能の病気や尋常性白斑、アトピー性皮膚炎、気管支喘息は合併して引き起こす確率が高いため、早期の診断と治療が重要です。
40代・50代の抜け毛がひどい女性によくある原因
40代・50代の女性の抜け毛がひどい場合は、加齢変化の影響による抜け毛の可能性が疑われます。
女性は年齢を重ねるごとに女性ホルモンの分泌量が低下していき、いわゆる「女性型脱毛症(AGA)」と呼ばれる脱毛症が起きやすくなります。
毛髪の成長には女性ホルモンが大きく影響しており、特に40代・50代の女性は抜け毛に悩む方が多くなります。
また、加齢に伴い髪の成長や頭皮の環境も変化するため、抜け毛や薄毛が進行しやすくなります。
以下では、加齢変化に伴う女性の抜け毛について、詳しく解説します。
更年期に伴うホルモンの変化・自律神経の乱れによる抜け毛
日本皮膚科学会が発表した「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」によると、男性は20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%と年齢とともに抜け毛の発症率が高くなるのに対し、女性は40代・50代の更年期に多発するケースが多く見られます。
更年期とは、一般的に閉経をはさむ前後5年間、つまり45歳から55歳頃にあたる時期を指し、この時期に卵巣の機能が低下することで、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少します。
エストロゲンは月経や妊娠に関わるだけでなく、肌や髪の健康を維持する重要な役割も果たしており、減少することで髪の成長が妨げられ、抜け毛が増加しやすくなります。
加齢変化は,女性の場合は更年期前後で脱毛数の増加に気がつく女性が多いことから,毛成長の加齢変化は閉経前後から顕著になると考えられている
引用元:植木 理恵, 髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-, 順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
また、更年期には身体だけでなく、精神的な変化も大きく現れることがあります。
女性ホルモンの減少に伴い、自律神経のバランスが乱れることがあり、これがストレスや不安感を増幅させ、抜け毛をさらに悪化させる原因となることがあります。
自律神経は体温調節や血圧、消化機能など、さまざまな体の働きをコントロールしているため、その乱れが全身の不調として現れやすくなります。
皮膚の水分量低下に伴う頭皮の乾燥などのトラブル
人は加齢とともに皮膚内の水分量や皮脂分泌が減少し、皮膚を保護するバリア機能も低下するため、かゆみやカサつきなどの皮膚トラブルが起こりやすくなります。
頭皮も肌の一部であるため乾燥しやすくなり、頭皮トラブルや抜け毛を引き起こしやすくなるほか、髪のハリやツヤが失われやすくなります。
また高年者では皮脂分泌が低下し,髪が乾燥しやすくなり,つやが失われやすくなる
引用元:植木 理恵, 髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-, 順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
更年期以降の場合、頭皮を洗い過ぎすことも頭皮を傷つけたり、乾燥させたりする原因にもなるため注意が必要です。
抜け毛に悩む女性におすすめの対策方法12選
女性の抜け毛の原因には、女性ホルモンの低下やホルモンバランスの乱れ、無理なダイエット、パーマやカラーリング、出産、ストレスなど様々な原因が考えられます。
年齢や生活環境によっては複数の原因が組み合わさっている場合もあり、抜け毛の原因を作らないためには日常の中でできる対策を心がけることが大切です。
以下では、抜け毛に悩む女性におすすめの対策方法を12個ご紹介します。
髪や頭皮にいい栄養をバランスよく摂取する
無理なダイエットや偏食などによる栄養不足は、休止期脱毛症を引き起こす原因となります。
髪や頭皮にいい特別な食品があるわけではなく、健康的な髪を維持するためにはバランスよく栄養を摂取することが必要不可欠です。
特に、髪の新陳代謝に必要不可欠なビタミン類や、たんぱく質、亜鉛、鉄などのミネラル類を毎日の食事でバランスよく摂ることは、髪の成長に役立ちます。
1日30品目を目標に、バランスのよい食生活を意識することが大切です。
しっかり良質のたんぱく質も摂って健康な身体を維持してほしい.全身の健康を維持することが健康で美しい髪を作る最も重要な事柄である
引用元:植木 理恵, 髪の健康を考える-美しい髪で過ごすには-, 順天堂醫事雑誌,2013 年 59 巻 4 号 p. 327-330
また、揚げ物や高脂質・高カロリーな食事は皮脂の分泌を増やし、頭皮のべたつきなど頭皮環境へ悪影響を与える要因となるため、食べ過ぎに注意しましょう。
頭皮環境を清潔に保つ
髪の土台となる頭皮環境を清潔に保つことも抜け毛対策において重要です。
頭皮の皮脂は適量であれば毛髪や頭皮に潤いを与え保護作用がありますが、過度の皮脂は髪にベトつきを与え、頭皮のかゆみなどを伴います。
体の中でも頭皮には皮脂腺が多く皮脂量も多くなるため、洗髪しても24時間後には洗髪前の状態に戻ってしまいます。
したがって、1日に1回は洗髪し、頭皮を清潔に保つことが大切です。
洗髪による頭脂の除去量は,18~26才の成年女子の場合の平均値を例示しますと,一 回目のシャンプーで72.8 %,二 回 目の洗髪で78.4%でした.また洗髪後の皮脂は,シャンプー後24時間でほぼ洗髪前の水準に回復します.
引用元:永山 升三, 西尾 宏.ヘアケアの科学.繊維製品消費科学.1987 年 28 巻 6 号 p. 219-226
シャンプーは、分泌した皮脂や汗、外部からの汚れを取り除くことが目的です。
汚れを放置しておくと、酸化や細菌の増殖によって匂いが発生したり、頭皮に炎症を起こしたりして抜け毛の原因となります。
ただし、前頭部と比較して頭頂部の水分量が男性では約半分、女性では約3分の1と特に女性は頭皮の水分量が少ない傾向があります。
1日に2回も3回も洗髪するのは洗いすぎで、頭皮が乾燥し、フケやかゆみの原因となるため避けましょう。
健康的な生活習慣を心がける
ストレスや自律神経の乱れ、病気など身体に過度の負担がかかることは休止期脱毛症を引き起こす原因となります。
抜け毛の原因となり得る病気にかからないよう、健康的な生活習慣を心がけることも大切です。
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を確保することで、血行促進やホルモンバランスを整えることが期待できます。
また、ストレスを溜め込まないために、リラクゼーションや趣味を楽しむことで心身の健康を維持しましょう。
睡眠時間を十分に確保する
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、結果的に髪や頭皮に悪影響を与えるため、睡眠時間を十分に確保することも抜け毛対策に重要です。
成長ホルモンは、深い眠り(ノンレム睡眠)の間に活発に分泌されます。
- ノンレム睡眠:成長ホルモンを分泌、身体の成長や発育、脳の休息、肌のターンオーバーを活性、新陳代謝アップ
- レム睡眠:精神性の回復、記憶の聖地・固定、技術の習熟
ノンレム睡眠は入眠後〜3時間の間に出現することが多く、一般的な就寝時間から逆算して22時〜2時が睡眠のゴールデンタイムといわれています。
睡眠はノンレム睡眠→レム睡眠を合わせて約90分を1つのサイクルとして、一晩に3〜5回繰り返されています。
就寝時間が何時であっても十分に睡眠時間を取れていれば成長ホルモンは活発に分泌されるため、ゴールデンタイムに就寝するのが難しい方でも、まずは睡眠時間を十分に確保することが大切です。
髪や頭皮の紫外線対策をする
強い紫外線による髪や頭皮へのダメージが蓄積することは、抜け毛を増加させる要因の一つです。
帽子や日傘を使用して長時間紫外線を浴びないようにしたり、UVカットスプレーやヘアオイルを使用するなどの対策がおすすめです。
また、頭皮へのダメージを拡散させるために、分け目を小まめに変えるように意識すると良いでしょう。
紫外線を長時間浴びてしまった時は、アフターケアもしっかり行いましょう。
頭皮や髪が熱を帯びている場合は冷水や冷やしたタオルなどでクールダウンし、洗髪時には髪や頭皮を傷つけないよう優しく洗うことが大切です。
シャンプー後はトリートメントやヘアオイル、頭皮の保湿剤などを使用して、頭皮や髪の保湿も行いましょう。
適度な運動やマッサージで血行促進をする
適度な運動や頭皮マッサージを取り入れ、血行を促進することも抜け毛対策に効果的です。
運動は全身の血行を促進し、頭皮にも十分な酸素と栄養を届けるため、健康な髪の成長を助けます。
ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、無理なく続けられる運動を日常に取り入れると良いでしょう。
特に、有酸素運動は「幸せホルモン」と呼ばれる脳内物質セロトニンの分泌を促す作用もあり、ストレスの軽減にもつながるため自律神経のバランスを整える効果も期待できます。
また、頭皮マッサージは血行を促進し、毛根に栄養を供給するサポートをします。
花王の研究によると、毎日3回1〜3分のマッサージを6ヶ月間行ったところ、マッサージしなかった場合と比べて頭皮の血流量が上がったとの結果が発表されています。
押す・しっかりこする・揉むを組み合わせたマッサージを行うと、より効果的です。
これらの習慣を取り入れることで、血行が促進され、髪の成長を支える環境が整えられます。
無理なく続けられる運動やマッサージを選び、日常生活に取り入れることが、抜け毛対策として重要です。
頭皮に合ったシャンプー・ヘアケアアイテムを使う
抜け毛対策には、頭皮の健康を保つために自分の頭皮に合ったシャンプーやヘアケアアイテムを使用することが重要です。
頭皮にも顔と同じように、乾燥肌や脂性肌などのタイプがあります。
乾燥肌には洗浄力が控えめなシャンプーが適しており、脂性肌には余分な皮脂を取り除くタイプのシャンプーが効果的です。
- 乾燥肌の場合:アミノ酸系やベタイン系など優しい洗浄力のシャンプー
- 脂性肌の場合:石鹸系や高級アルコール系など洗浄力が強いシャンプー
ただし、洗浄力が強いシャンプーを選ぶと頭皮の必要な皮脂を取りすぎてしまい、かえって乾燥や刺激を引き起こすことがあるため注意が必要です。
また、抜け毛が気になる場合は保湿や血行促進、抗炎症作用など頭皮ケア成分が配合されているシャンプーもおすすめです。
シャンプーだけでなく、コンディショナーやトリートメントも頭皮や髪の状態に応じて選びましょう。
正しい洗髪方法・ヘアケアを取り入れる
頭皮の汚れは毛穴を詰まらせ、抜け毛が増加する要因となります。
以下の正しい洗髪方法とヘアケアを取り入れることで、髪と頭皮の健康を保ち、抜け毛を予防しましょう。
- シャンプー前にブラッシング:髪の絡まりを防ぎ、汚れを浮かせるために、シャンプー前にブラッシングを行いましょう。
- ぬるま湯で予洗い:ぬるま湯で髪と頭皮を予洗いし、表面の汚れを軽く落とします。
- シャンプーは薄めてよく泡立てる:シャンプーは直接地肌につけず、少量を手に取り、水で薄めてからよく泡立てます。泡を使って地肌を優しくマッサージするように洗います。
- 地肌をマッサージしながら洗う:地肌を下から上へマッサージするように洗うことで、血行を促進し、健康な髪を育てる環境を整えます。
- 流し残しがないよう十分にすすぐ:シャンプーの流し残しがないよう、1〜2分かけてしっかりとすすぎます。流し残しは頭皮の炎症や抜け毛の原因になるため注意が必要です。
- 髪と頭皮をしっかり乾かす:シャンプー後はタオルで優しく水気を取り、ドライヤーを使って髪と頭皮をしっかり乾かします。自然乾燥は湿気を残し、細菌の繁殖を招くことがあるため避けましょう。
※参照元:「最近、抜け毛が多くて気になります。」| 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修
シャンプー後は素早くドライヤーで十分に乾かす
シャンプー後には髪が濡れた状態のまま放置せずに、素早くドライヤーで乾かすことが重要です。
頭皮には、表皮ブドウ球菌やアクネ菌、酵母といった複数の常在菌が存在しています。
常在菌は健康な頭皮にも住みついていますが、常在菌が増殖するとかゆみや炎症、匂いといった頭皮トラブルを起こしやすくなります。
頭皮は髪の毛で覆われているため乾燥しにくい環境にあり、シャンプー後に濡れたまま放置すると雑菌が増殖し、頭皮トラブルの原因となります。
このような頭皮の環境は,頭 皮の常在微生物にとって繁殖するに非常に良い環境です.
引用元:永山, 西尾.ヘアケアの科学.繊維製品消費科学.1987 年 28 巻 6 号 p. 219-226
頭皮トラブルは抜け毛を引き起こす原因となるため、シャンプー後はドライヤーを使用して、素早くしっかりと乾かす必要があります。
なお、髪を乾かす際は、髪にドライヤーを近づけ過ぎない、1カ所に当て過ぎないなどドライヤーの熱から髪と地肌を守ることも大切です。
ドライヤー時の抜け毛が気になる方のために下記の記事で詳しく解説しています。
カラーやパーマなど髪へのダメージが強いケアを控える
カラーやパーマなど、髪へのダメージが強いケアは、抜け毛予防の観点からはなるべく控えることをおすすめします。
髪を明るく染めたり、パーマをかけてふんわりさせたりすることは、薄毛をカモフラージュして気分転換になりますが、同時に髪へ強いダメージを与えてしまいます。
健康な髪を維持するために、極端に頻繁なカラーリングやパーマはなるべく避けましょう。
また、施術後はキューティクルが剥がれやすく髪が痛みやすい状態になっているため、普段以上にいたわるよう工夫することが大切です。
例えば、シャンプー時の摩擦に気を付ける、ブラッシング時は摩擦を低減するようなブラッシング剤を用いるなどの対策があります。
同じ髪型・結び方を継続しない
毎日同じ髪型や結び方を継続していると、頭皮の一定の部位に負荷がかかってしまい、抜け毛を引き起こす可能性があります。
小まめに分け目を変える、休日など外出の機会がない日は髪を結ばないなどの対策をしましょう。
常に同じ髪型や分け目にして、同じ部位に負荷がかかっている場合も牽引性脱毛症を引き起こす可能性があります
引用元:薄毛を知る - 日本毛髪科学協会
育毛剤などによる頭皮ケアを取り入れる
抜け毛対策には、髪だけでなく頭皮のケアも非常に重要です。
頭皮は髪が育つ土壌であり、健康な頭皮環境を保つことが、健康な髪を育てる鍵となります。
頭皮ケアの方法として、主に頭皮マッサージ、頭皮の保湿、適切な洗髪などが挙げられます。
シャンプー時やお風呂上がりなどに頭皮マッサージを取り入れることで、頭皮の血行を促進して抜け毛予防が期待できます。
また、乾燥した頭皮はかゆみやフケの原因となり、さらに抜け毛を引き起こすことがあるため、頭皮の保湿ケアも重要です。
保湿成分が含まれた頭皮用の美容液やオイル、育毛剤を使うことで、頭皮の水分バランスを保ち、健やかな髪の成長をサポートできます。
さらに、刺激の少ない、頭皮に優しい成分のシャンプーを選ぶことで、頭皮の健康を守り、髪の成長を促進します。
頭皮ケアを取り入れることで、より効果的な抜け毛対策が可能となり、健康な髪を維持しやすくなるでしょう。
抜け毛予防・対策に必要な栄養成分とおすすめの食材
毎日の食生活でバランスよく栄養を摂取することは、髪や頭皮の健康維持に必要不可欠です。
抜け毛予防・対策に必要な栄養成分には、以下のものが挙げられます。
抜け毛予防・対策に必要な栄養成分と主な食材
栄養成分 | 食材 |
---|---|
たんぱく質 | 魚、肉、卵など |
亜鉛 | 貝類、レバー、魚、チーズなど |
ビタミンA | レバー、うなぎ、海藻類など |
ビタミンB群 | 赤身の魚や肉、貝類、バナナ、さつまいもなど |
ビタミンC | 柑橘系の果物、緑黄色野菜など |
ビタミンE | ナッツ類、穀類、豆類、油など |
鉄分 | レバー、魚介類など |
大豆イソフラボン | 大豆由来の加工食品 |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
たんぱく質や亜鉛は髪の成長に関わり、ビタミン類や体内の新陳代謝に関わります。
鉄分は髪に必要な栄養を届けるために必要不可欠であり、大豆イソフラボンは女性ホルモンの不足を補います。
以下では、それぞれの栄養成分が髪や育毛に与える効果と、栄養成分を多く含むおすすめの食材を詳しく紹介します。
たんぱく質
髪の約90%はケラチンというたんぱく質でできています。
ケラチンを構成するのが、シスチンやグルタミン酸など20種類のアミノ酸です。
たんぱく質を構成するアミノ酸のうち11種類は体内で生成できますが、9種類は体内で生成できない必須アミノ酸であるため、日々の食事で摂る必要があります。
たんぱく質は、主に魚や肉、卵などに多く含まれます。
特に、現代の食生活は炭水化物などの糖質に偏りがちのため、積極的に魚や肉を食べるようにすると良いでしょう。
以下に、たんぱく質を多く含む食材を紹介します。
食材 | たんぱく質含有量(100gあたり) |
---|---|
さけ・ます類 | 77.4g |
さば | 73.9g |
たら | 73.2g |
豚もも肉 | 30.2g |
鶏むね肉 | 38.1g |
牛もも肉 | 28.0g |
鶏卵 ゆで | 16.1g |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
1日に必要なたんぱく質の推奨摂取量は、成人女性で約50gが目安です。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
たんぱく質を含む食材の中でも、いわしやさばなどの青魚にはオメガ3脂肪酸というDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。
DHA・EPAは血流を促す作用があるため、髪を作る毛母細胞のある毛根にも栄養が届きやすくなります。
魚介類や魚油を摂取すると,主としてDHAやEPAの生理作用により,血栓ができにくくなり,血漿中のコレステロールやトリアシルグリセリンが低下し,血 液性状が改善され,血圧の低下も認められる
引用元:鈴木 平光.魚油の健康機能.日本油化学会誌.1999 年 48 巻 10 号 p. 1017-1024,1197
さらに、魚には髪を作るケラチンの生成を助ける「メチオニン」というアミノ酸も豊富なため、積極的に取り入れましょう。
亜鉛
亜鉛は、たんぱく質(ケラチン)を合成する働きがあるため抜け毛対策に重要です。
たんぱく質をしっかり摂取しても、亜鉛が不足していると髪は作られません。
亜鉛欠乏症は、休止期脱毛症を引き起こす可能性があるほか、味覚などの低下につながる恐れもあります。
以下は、亜鉛を多く含む食材の一例です。
食材 | 亜鉛含有量(100gあたり) |
---|---|
牡蠣 | 12〜25.0mg |
豚(スモークレバー) | 8.7mg |
さば | 8.4mg |
いわし | 7.9mg |
牛もも肉 | 7.5mg |
チーズ | 7.3mg |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
亜鉛の1日あたりの推奨摂取量は、成人女性で約8mgです。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
亜鉛は多くの食材に含まれるため、バランスの良い食事を続けていれば不足なく亜鉛を摂取できるでしょう。
貝の中でも栄養値が高い牡蠣は、ビタミンB群やミネラル類も含んでいるため、抜け毛予防に向いている食材です。
牡蠣1つが15g程度なので、5〜6個食べると1日に必要な亜鉛を摂取できます。
ビタミンA・B・C・E
ビタミン類は、体内の機能を正常に保つために必要な栄養素であり、三大栄養素の代謝をサポートする役割があります。
ビタミンの中でも抜け毛対策に関わるのは、ビタミンA・B・C・Eで、それぞれ働きや含まれている食材が異なります。
ビタミンA
ビタミンAは、細胞の再生や免疫力アップの他、頭皮の皮脂分泌量の調整などの役割があります。
頭皮の乾燥や炎症などの頭皮トラブルを防ぎ、頭皮のコンディションを整えることで、抜け毛予防に期待できます。
以下の表のように、ビタミンAは肉類、魚類、卵類、藻類などに多く含まれています。
食材 | ビタミンA(レチノール活性当量)含有量(100gあたり) |
---|---|
豚(スモークレバー) | 17000㎍ |
鶏 肝臓(レバー) | 14000㎍ |
うなぎ(養殖/生) | 2400㎍ |
銀だら(水煮) | 1800㎍ |
牛 肝臓(レバー) | 1100㎍ |
鶏卵(生) | 690㎍ |
乾燥わかめ | 710㎍ |
※レチノール活性当量(㎍RAE) =レチノール(㎍)+β─カロテン(㎍)×1/12+α─カロテン(㎍)×1/24
※参照:食品成分データベース|文部科学省
ビタミンAの主要成分はレチノールであるため、摂取基準はビタミンAの前駆体すべて合わせて「レチノール活性当量(RAE)」として算出されています。
ビタミンA(レチノール活性当量)の1日あたりの摂取量は、成人女性で約700㎍です。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
ビタミンAを含む食材の中でも、うなぎにはビタミンが豊富なうえ、たんぱく質や亜鉛、DHA・EPAも含まれるので抜け毛予防に適しています。
また、わかめなど海藻類は、亜鉛をはじめとするミネラルが豊富なうえ、ビタミンやカルシウムも含まれるため積極的に摂りたい食材です。
なお、ビタミンAは排泄されにくい脂溶性ビタミンであり、過剰摂取による健康リスクが報告されています。
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンAの耐容上限量は2700㎍とされているため、レバーなどのビタミンAを豊富に含む食材の食べ過ぎや、サプリメントによる過剰摂取には注意しましょう。
ビタミンB
ビタミンB群は新陳代謝をサポートする役割などがあり、髪の成長や健康維持に必要な栄養素です。
中でもB6とB12は髪の成長に必要不可欠です。
ビタミンB6は、髪の材料であるケラチンなどたんぱく質の合成に関わっています。
ビタミンB6の1日あたりの摂取量は、成人女性で約1.1kgです。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
ビタミンB6は、赤身の魚やヒレ肉、ささみなど脂が少ない肉類に多く含まれ、植物性の食品では、バナナ、パプリカ、さつまいもなどにも比較的多く含まれます。
食材 | ビタミンB6含有量(100gあたり) |
---|---|
にんにく(ガーリックパウダー) | 2.32mg |
まぐろ(赤身) | 1.08mg |
バナナ(乾) | 1.04mg |
豚ヒレ肉 | 0.76mg |
鶏ささみ | 0.66mg |
牛 肝臓(レバー) | 0.89mg |
ブロッコリー(油いため) | 0.52mg |
さつまいも(皮なし・焼き) | 0.33mg |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
ビタミンB12も、ビタミンB6と同様にたんぱく質の合成やアミノ酸の代謝に関わっており、正常な赤血球の生成にも欠かせない栄養素のため、髪や頭皮に栄養を行き渡らせるために必要です。
ビタミンB12の1日あたりの摂取量は、成人女性で約2.4㎍です。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
ビタミンB12は、以下のような魚介類や動物性食品に多く含まれます。
食材 | ビタミンB12含有量(100gあたり) |
---|---|
しじみ(水煮) | 82.0㎍ |
カタクチイワシ(田作作り) | 65.0㎍ |
焼きのり | 56.7㎍ |
すじこ(白鮭) | 54.0㎍ |
牡蠣(燻製油漬缶詰) | 32.0㎍ |
まさば(焼き) | 22.0㎍ |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
日常の食生活で魚介類を積極的に取り入れることで、効率よくビタミンB12を摂取できます。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンの生成を助けるのに必要な栄養素です。
コラーゲンは髪の健康に必要不可欠なたんぱく質であるため、抜け毛対策に有効です。
また、抗酸化作用もあり、ビタミンEと協力して活性酵素の影響から頭皮を守る役割もあります。
紫外線やストレスなどにより活性酸素が発生し、頭皮の細胞にダメージを与えて炎症などが起ることを防ぐことが期待できます。
ビタミンCを多く含む食材は以下の通りです。
食材 | ビタミンC含有量(100gあたり) |
---|---|
アセロラ(生) | 1700mg |
赤ピーマン(炒め) | 180mg |
キャベツ(生) | 160mg |
ブロッコリー(電子レンジ調理) | 140mg |
キウイフルーツ(生) | 140mg |
レモン(生) | 100mg |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
ビタミンCの1日あたりの摂取量は、成人女性で100mgです。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
ビタミンCが豊富な柑橘類は、肌に良いだけでなく女性の抜け毛対策にも良いといわれています。
また、亜鉛と一緒に摂取すると亜鉛の吸収率を高める効果もあります。
亜鉛を豊富に含む牡蠣にレモン汁をかけるなど工夫すると、亜鉛も効率よく吸収できるでしょう。
ビタミンE
ビタミンEは、強い抗酸化作用を持つことが特徴で、酸化ストレスによる炎症を抑えて頭皮環境を整えます。
ビタミンEは、ナッツ類や油、穀類、魚介類、豆類、野菜などに多く含まれます。
ナッツは高カロリーのため食べ過ぎには注意が必要ですが、鶏肉とナッツの炒め物などのレシピで日常の料理に取り入れましょう。
ビタミンEを多く含む食材は、以下の通りです。
食材 | ビタミンE含有量(100gあたり) |
---|---|
アーモンド(乾) | 30.0mg |
ひまわり油 | 39.0mg |
ヘーゼルナッツ(フライ) | 18.0mg |
ブロッコリー(焼き) | 6.0mg |
ほうれん草(油いため) | 4.8mg |
調製豆乳 | 2.2mg |
※α-トコフェロール含有量
※参照:食品成分データベース|文部科学省
ビタミンEの大部分がα-トコフェロールであることから、食事摂取基準ではα-トコフェロールの目安量で1日に必要なビタミンEを示しています。
ビタミンEの1日の摂取量は、成人女性で約5.0〜6.0kgが目安です。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
鉄分
鉄分は髪の成長に重要な栄養素です。
ヘモグロビンという赤血球中の鉄分は、肺から組織へ酸素や栄養素を運搬する役割があります。
そのため、鉄分不足により貧血の状態が続くと、毛根へ十分な栄養が行き届かずに髪の成長を妨げる要因となります。
鉄分の1日の摂取量は、成人女性で約6.5kg〜10.5mgが目安です。※参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
女性は月経による鉄分の損失があるため多くの鉄分が必要となり、妊娠中や授乳中はさらに多くの鉄分が必要となります。
鉄分を多く含む食材は、以下の通りです。
食材 | 含有(100gあたり) |
---|---|
青のり(煮干し) | 61.0mg |
干しひじき(乾) | 58.0mg |
かたくちいわし(煮干し) | 18.0mg |
豚肉(スモークレバー) | 20.0mg |
鶏肉 肝臓(レバー) | 13.0mg |
牛肉 第三胃(センマイ) | 3.3mg |
※参照:食品成分データベース|文部科学省
食材に含まれる鉄分は、たんぱく質と結合しているヘム鉄と、ヘム鉄以外の非ヘム鉄に分けられます。
吸収率の高いヘム鉄はレバーや魚などに多く含まれ、非ヘム鉄はのりなど海藻類に多く含まれています。
レバーは鉄分豊富なうえ、髪の再生と健康を維持するビタミンB群、亜鉛、必須アミノ酸なども豊富です。
特に、豚レバーは高たんぱく、低糖質なうえミネラルやビタミンも豊富なため抜け毛対策におすすめです。
ただし、レバーにはビタミンAが多く含まれているため過剰摂取に注意し、月に数回食べる程度にすると良いでしょう。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは女性ホルモンの一種である「エストロゲン」と似た働きをすることで知られており、髪のハリやツヤ、肌の健康状態などを維持するのに役立ちます。
女性は30代以降、加齢によって女性ホルモンが低下するため、大豆イソフラボンによってエストロゲンの不足を補うことで、抜け毛予防に役立ちます。
大豆イソフラボンは、大豆を原料とする加工食品に多く含まれています。
大豆イソフラボンは糖が結合した構造をしており、糖が外れた構造のものを大豆イソフラボンアグリコンといいます。
以下に、大豆イソフラボン(アグリコンとして)の含有量が多い食材を紹介します。
食材 | 含有量(100gあたり) | 平均含有量(100gあたり) |
---|---|---|
大豆(11検体) | 88.3~207.7mg | 140.4mg |
納豆(2検体) | 65.6~81.3mg | 73.5mg |
煮大豆(3検体) | 69.0~74.7mg | 72.1mg |
味噌(8検体) | 12.8~81.4mg | 49.7mg |
豆乳(3検体) | 7.6 ~59.4mg | 24.8mg |
豆腐(4検体) | 17.1~24.3mg | 20.3mg |
※厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)より
大豆イソフラボンを食事から摂る1日あたりの摂取目安量は、70〜75mgです。
例えば、納豆1食は約45g、豆腐一丁は約350gなので、毎日の食事に取り入れることで必要な大豆イソフラボンを手軽に摂取できます。
特に、納豆はイソフラボンの他たんぱく質やビタミン、ミネラルも含まれているため、積極的に取り入れたい食材です。
抜け毛予防・対策におすすめの頭皮ケア
抜け毛予防・対策には、髪だけでなく頭皮のケアが欠かせません。
頭皮は髪の成長を支える土台となる部分であり、頭皮の状態が髪の健康に大きな影響を与えます。
以下では、抜け毛予防・対策におすすめの頭皮ケアを3つ紹介します。
- 頭皮マッサージ:血行促進
- マッサージ器を使ったケア:血行促進、育毛促進、洗浄など
- オイルを使ったケア:保湿、栄養補給など
頭皮マッサージ
頭皮マッサージは、硬くなった頭皮を柔らかくし、血行を促進することで抜け毛予防に役立つ頭皮ケア方法です。
定期的に行うことで、毛根に必要な栄養を届けるサポートをする他、リラックス効果も期待できるためストレスの軽減にも繋がります。
以下に、簡単にできる頭皮マッサージの方法を紹介します。
人差し指と中指を使って、耳の前後を優しく揉みます。耳の前、耳の後ろ、顎下のリンパ節へ順に移動させながら行います
右手で左のうなじから左胸に向けて、ゆっくり2回さすります。反対側も同様に行います。
耳たぶを親指と人差し指でつまみ、円を描くように揉みます。耳の縁に沿って上部まで移動し、耳たぶまで戻ります。耳たぶを外側に引っ張る動作も加えてください。
指の腹を使い、頭皮をつかみながら円を描くように3回動かし、3秒間指圧します。これを頭皮全体に行います。
もみ上げ付近から生え際に沿って、指で軽く押しながら皮膚を引き上げます。
中指を額の中心に置き、圧をかけながら頭頂部の百会(ひゃくえ)まで移動します。百会を3秒間押し、ゆっくり力を抜いて離します
指をこめかみに当て、頭皮を引き上げるようにしながら頭頂部を通り、後頭部へ手ぐしを通します。これを3カ所×2回繰り返します。
人差し指と中指を後頭部のくぼみに置き、ゆっくり顎を上げながら3回繰り返します。大きく深呼吸して終了です。
※参照元:曽我, 森田, 新井.地肌マッサージの頭皮への作用.日本化粧品技術者会誌.2014 年 48 巻 2 号 p. 97-103
ツボ押し
ツボ押しは、抜け毛予防や髪の健康維持に役立つ効果的な頭皮ケア方法の一つです。
東洋医学では、人には目に見えない「気」というエネルギーが流れており、ツボは気が巡っている経路の出入り口「経穴」にあります。
ツボを刺激することで気の流れとともに体調を整えることが目的です。
頭皮に対応するツボもあり、ツボを刺激することで血行が促進され、毛根への栄養供給が改善されるため、抜け毛対策に繋がります。
ツボを押す際は、1回5〜10秒押して、ひと呼吸してまた押すという作業を5分程度繰り返します。
ツボ押しはリラックス効果も期待できるため、ストレスの軽減にも役立ちます。簡単にできるケア方法として、ぜひ取り入れてみてください。
以下に、抜け毛に効果的とされる代表的なツボを4つ紹介します。
百会は頭頂部に位置し、両耳の上端を結んだ線と、眉間の中心を結んだ線が交わる点が百会の場所です。様々な経路が集中していることから万能のツボともいわれています。
通天は、百会から左右に向かって斜め前に指2本分斜め前に位置しており、後頭部のコリをほぐします。その他、鼻詰まりや頭痛などに効果があるといわれています。
天柱は、首の後ろのくぼみから指2本分ほど上に位置し、首や肩の緊張を和らげる効果があります。
風池は後頭部にあるツボで、天柱の外側1cm程度上にずれた位置にあります。後頭部のこりをほぐし、肩こりや首こりを改善する効果があるツボです。
マッサージ器を使ったケア
頭皮ケアとして頭皮マッサージを行う際は、EMSなどのマッサージ器の使用も有効です。
頭皮マッサージ器を使用した効果に関する研究では、頭皮の血行促進の他、毛髪が太くなる、成長毛の増加などの効果が発表されています。
マッサージ器は電動や手動、取っ手型や石鹸型、ブラシの形状、防水機能の有無など様々なタイプが販売されているため、使いやすく継続しやすいものを選ぶのがおすすめです。
また、付帯している機能も製品によって異なり、主にマッサージ単機能タイプ、LED・低出力レーザータイプ、洗浄機能付きタイプがあります。
単機能タイプ
頭皮を揉むなどして頭皮に刺激を与えるタイプのマッサージ器です。
Dクリニックによる研究では、男性を対象とした研究ではあるものの、マッサージ器の使用を毎日4分間継続したところ、毛径(毛髪の太さ)が増えることが確認されています。
LED・低出力レーザータイプ
LEDを照射する機能付きのマッサージ器は、日本皮膚科学会のガイドラインにおいて、女性型脱毛症における成長期毛の数が増加したと報告されています。
血行促進と同時に育毛も重視したい方におすすめです。
女性122 名の被験者を対象とした観察期間 26 週間のランダム化試験において75),成長期毛の数は,女性において 9-beamレーザー照射群は 20.2 本/cm2(コントロー ル群 2.8 本/cm2),12-beam レーザー照射群は 20.6 本/ cm2(コントロール群 3.0 本/cm2)と有意に増加してい た.
引用元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
洗浄機能付きタイプ
シャンプー時に利用し、頭皮や毛穴の洗浄もできるタイプのマッサージ器です。
抜け毛の原因で述べた通り、皮脂や汚れが毛穴に詰まることは、炎症などの頭皮トラブルの原因となり、抜け毛を引き起こす可能性があります。
洗浄機機能付きのマッサージ器には、毛穴の中の汚れまで取れるような設計のものが多いため、手軽に頭皮を清潔な状態に保てます。
オイルを使ったケア
頭皮の乾燥による抜け毛が疑われる場合は、保湿や栄養補給ができるオイルなどを使った頭皮ケアもおすすめです。
乾燥した頭皮はフケやかゆみを引き起こし、炎症や抜け毛の原因となる可能性があります。
オイルを使ったケアは頭皮に必要な油分を補い、潤いを与えることで、健康的な頭皮環境を保つサポートになります。
例えば、ホホバホイル、アルガンオイル、ココナッツオイルなどの植物由来オイルが有名です。
製品によって効果は異なりますが、ビタミンEなど栄養成分を含有しているものも多く、頭皮の保湿だけでなく抗酸化や抗炎症といった頭皮ケアにも期待できます。
抗酸化能,皮膚の角質化の防止,抗炎症などの機能活性を有しているビタミンEおよびフィトステロールが,多くのキャリアオイルで含量の違いはあるが検出された。
引用元:沢村, 佐藤, 芦澤, 中島, 石鍋, 浅野, 東谷.キャリアオイル中のビタミンEおよびフィトステロール含量.アロマテラピー学雑誌.2021 年 22 巻 2 号 p. 37-46
頭皮用オイルは基本的にシャンプー前に使用し、頭皮マッサージも組み合わせることで血行促進効果も期待できます。
女性の抜け毛がひどい場合に相談できる専門機関
軽度の抜け毛であれば、生活習慣の見直しや日々の頭皮ケアも有効ですが、抜け毛の症状がひどい場合には、各専門機関を受診することもおすすめです。
抜け毛の相談は、主に以下の専門医機関で行っています。
抜け毛の原因 | 専門機関 |
---|---|
ホルモンバランス・更年期障害 | 婦人科 |
かゆみや炎症などの頭皮トラブル | 皮膚科 |
過度なストレス | 心療内科 |
抜け毛全般 | AGAクリニック |
専門機関に相談することで、自分の体の状態を正確に把握し必要な治療が受けられるため、抜け毛がひどいと感じた場合は検討してみてください。
抜け毛の原因によって、相談できる専門機関は異なります。
以下では、女性の抜け毛の原因ごとに相談できる専門機関について解説します。
ホルモンバランスや更年期障害が影響している場合は「婦人科」
抜け毛の原因にホルモンバランスの乱れや更年期障害が影響している場合には、婦人科で検査をして適切な治療を受けるのが適していると考えられます。
婦人科では、ホルモンバランスの検査を行い、必要に応じてホルモン補充療法や漢方薬治療、生活習慣の改善指導などを受けられます。
女性ホルモンに関連している場合、抜け毛だけでなく身体や精神の不調を感じ、日常生活に支障をきたすこともあります。
症状がひどいと感じる場合には、婦人科に相談することを検討してみてください。
頭皮のかゆみやトラブルが生じている場合は「皮膚科」
抜け毛がひどいだけでなく、同時に頭皮トラブルが見られる場合、頭皮の健康状態が原因であると考えられます。
例えば、頭皮に赤みやフケ、かゆみの症状がある場合や、皮脂の過剰分泌による頭皮のベタつきや、ニキビができる場合などが該当します。
このような症状がある場合、まずは皮膚科で頭皮の治療を行うところからはじめるのが最適です。
皮膚科では、皮膚腫瘍の診断やパッチテスト、アレルギー検査などの診察を受けられ、頭皮の状態を詳細に診断し、必要に応じて適切な治療を行います。
皮膚科での診断により、抜け毛が単なる頭皮トラブルによる一時的なものであるか、それとも別の根本的な原因が存在するのかを判断できます。
このように、早期の皮膚科受診により適切な治療を受けることで、抜け毛の進行を防ぐとともに、頭皮の健康を取り戻すことが期待できます。
過度なストレスが原因と考えられる場合は「心療内科」
過度なストレスが抜け毛の原因だと考えられる場合はカウンセリングなどの心のケアも重要になるため、「心療内科」が適切だと考えられます。
精神的なストレスが長期間続くと自律神経のバランスが崩れ、ホルモンバランスの乱れや血行不良が引き起こされます。
その結果、毛根に十分な栄養が行き渡らず、抜け毛が増えることがあります。
特に「急性休止期脱毛」は強い精神的ストレスが原因で一時的に抜け毛が生じることがあり、心療内科での治療が適しているケースです。
心療内科では、ストレスなどの心理的な影響が起こる身体の疾患の治療と併せて、心理面での治療やケアも受けられます。
例えば、患者のストレスレベルや精神状態を評価し、必要に応じてカウンセリングや薬物療法を行います。
抜け毛の原因がストレスに関連していると考えられる場合、まずは原因である心身の健康を回復させることが症状の悪化を防ぐことにつながるでしょう。
抜け毛全般に悩む場合は「AGAクリニック」
抜け毛の原因が自分ではっきりわからない場合や、加齢などによる女性型脱毛症(FAGA)が疑われる場合には、男性型脱毛症専門のAGAクリニックでの相談が適しています。
AGAクリニックでは幅広い脱毛症を扱っており、女性型脱毛症(FAGA)や産後脱毛症など女性特有の抜け毛も対象です。
女性の抜け毛の場合、女性ホルモンの減少だけが原因であるとは限らず、遺伝的要因や男性ホルモンの影響である可能性も考えられます。
AGAでは専門の医師によるカウンセリングを通じて、抜け毛の原因や治療法に関する詳しい説明が受けられるため、自分に最適な治療法を見つけられます。
特に、抜け毛の原因が特定できず、一般的なケアでは効果が見られない場合は、早期にAGAクリニックを受診することが賢明です。
ただし、AGA外来は自由診療のため保険が適用されず、診察代や治療代、薬代などはすべて全額負担となるため注意が必要です。
AGAクリニックに限らず、AGA治療は共通して自由診療なので金額を確認したうえで受診すると良いでしょう。
自由診療とは、治療として、国の承認を受けるための全段階を満たしておらず、有効性などが公的に確認されていないので『保険診療』として扱われないものです。保険診療と厚生労働省が承認していない治療や薬を併用すると、公的医療保険による医療費負担は適用されず、治療費が全額自己負担となります。
引用元:自由診療 | 再生医療ポータル
「女性の抜け毛」についてよくある質問
女性の抜け毛について原因や対策を紹介してきましたが、自分の症状が自然な抜け毛なのか、対策すべき抜け毛なのか判断に迷う方もいるでしょう。
また、まずは自分でできる対策方法として正しい方法を知っておくことも大切です。
以下では、女性の抜け毛についてよくある質問をまとめました。
- 1日何本程度なら正常な抜け毛の範囲?
- 女性で抜け毛がひどいって何本ぐらいから?
- 抜け毛が増える時期はいつ?
- 女性の抜け毛対策にサプリメントは使える?
- 女性の抜け毛がひどい時に育毛剤は使ってもいい?
- 女性型脱毛症(FAGA)とはどんな症状?
不安な点や疑問点を解消して、自分に合った正しいスカルプケアを実践しましょう。
- 1日何本程度なら正常な抜け毛の範囲?
-
通常、1日に50〜100本程度の抜け毛は正常範囲とされています。
しかし、1日に100本以上の抜け毛がある場合や、軽く引っ張るだけで大量の髪が抜ける場合、また頭皮が見えるほどの脱毛が進行している場合は、病的脱毛の可能性が考えられます。
このような場合は、早めに専門機関での診断と適切な治療を受けることが重要です。
- 女性で抜け毛がひどいって何本ぐらいから?
-
1日100本以上の抜け毛が続くと、病的な脱毛が疑われます。
特に1日100本を大きく上回る量の抜け毛がある場合は、抜け毛がひどい状態といえます。
このような状況では、早めに専門機関で診断を受け、適切な対策を講じることが重要です。
- 抜け毛が増える時期はいつ?
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抜け毛が増える時期は、特に春や秋などの季節の変わり目だといわれています。
季節の変わり目は気温や湿度の変化が大きく、体内のホルモンバランスや新陳代謝が影響を受けやすいため、抜け毛が増えることがあります。
季節的な要因で一時的に抜け毛が増えた場合はあまり心配せず、適切なヘアケアを続けることが大切です。
- 女性の抜け毛対策にサプリメントは使える?
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女性の抜け毛対策にサプリメントを利用することは、髪や健康維持に必要な栄養を補う意味で一定の効果が期待できます。
ただし、基本的に栄養は食事から摂取するのが理想的です。
食事だけでは不足しがちな栄養素を補う形でサプリメントを取り入れると良いでしょう。
適切な栄養バランスを保つことが、健康な髪の成長に役立ちます。
- 女性の抜け毛がひどい時に育毛剤は使ってもいい?
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育毛剤は、血行促進やホルモンの活性化を助けるなど、自分の症状に合ったものを選べば使用すること自体は問題ありません。
ただし、育毛剤はあくまで補助的なケアなので、生活習慣や食事にも気をつけ、総合的な対策を心がけることが大切です。
- 女性型脱毛症(FAGA)とはどんな症状?
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女性型脱毛症(FAGA)は、男性型脱毛症(AGA)とは異なり、頭部全体が徐々に薄くなっていくという性質を持っています。
男性の場合、前頭部や頭頂部が特に薄くなるのに対し、女性は髪全体が均等に薄くなる傾向があります。
このような性質により徐々に髪のボリュームが減り、地肌が目立ちやすくなることが特徴です。
自分に合った抜け毛対策・予防をして健康な髪を育もう
この記事では、女性に多い抜け毛の原因と、抜け毛がひどい時の対策方法や相談できる専門機関についてご紹介しました。
女性の抜け毛についてまとめると、以下の通りです。
- 女性全般に多い抜け毛の原因は、休止期脱毛症や加齢変化による影響
- 女性はホルモンバランスの乱れや女性ホルモンの低下により、抜け毛が引き起こることが多い
- 休止気脱毛症のうち身体の疾患や病気が関連する疑いがある場合は、早急な対応が必要
- 女性の抜け毛の中には、季節変化やヘアサイクルなど自然現象による脱毛や、出産後など一時的な脱毛もある
- 髪の健康的な成長を促すためには、生活習慣や食生活、ヘアケア習慣などの見直しも大切
- 女性の抜け毛はひどい時は、原因に合った専門機関に相談することも選択肢の一つ
女性の抜け毛の原因は複数考えられ、まずは自分に当てはまる原因を知ることが大切です。
原因を取り除くための対策や日々のセルフケアを続けることで、健康的な美しい髪を目指しましょう。