大阪の本町駅から徒歩5分の婦人科
中絶手術から更年期障害やピル外来も行っております
分かりにくい他人との差
そこで出血量の定義です。
自分の出血量が多いのか少ないのか?
あまり人と比べることもありませんので、わからないことのほうが多いものです。
逆に言えば、量に関して意識したことがない方は、さほど問題はないのかもしれません。
ですが、40才前後から『最近量が減ってきて大丈夫かしら?』と少し心配になる方も増えてきます。
また逆に量が増えてきて困っているという方もあります。
昔からずっと多いという方もおられるでしょう。
でも、その出血量が病的なレベルなのかどうか、なかなかわかりませんよね。
多すぎる?少なすぎる?
そこで出血量の定義です。
1周期の総出血量として、20-140ml が正常とされています。
20ml以下を過小月経、140ml以上を過多月経といいます。
『ん?そんなの量ったことないし。』という声が聞こえてきそうですね。
ママにわかりやすく、大さじ1杯から10杯ぐらいの間・・・あれ、よけいわからない?
過小月経は心配になることはあっても、日常生活で困ることはないでしょう。
ですが、過多月経は『日常生活に支障をきたすレベルの出血』と考えるのがわかりやすいと思います。
ナプキンが1時間もたなかったり、血のかたまりがごろごろ出てきたり、寝てる間にあふれたり。
さらに、出血量が多い状態が続くと貧血になってきます。
そうなると、めまいやたちくらみ、疲れやすいなどの症状が出てきます。
しかし、毎月のことですので『まあこんなものか』と受診されない方も結構おられます。
ようやく受診されて調べてみると貧血がひどく、正常の半分以下という方もおられます。
毎月、毎月少しずつの変化ですので、体は慣れていき、意外とやっていけてしまうのです。
男ならぶったおれています。
やっぱり女性は強いです。
もちろん、いくら女性が強いからといって、この状態を続けるのはよくありません。
原因と治療
過多月経の原因は、器質的なもの、機能的なもの、内科的なものにわかれます。
器質的なものとは、子宮に何かあるということです。
代表的なものが、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、などです。
まれに悪性疾患が原因のこともあります。
機能的なものとは、子宮には何もなくホルモン的な問題で出血量が増えているものです。
内科的なものとは、血が止まりにくくなる血液の病気や、そのような薬(抗凝固剤などです)を服用している場合です。
さて、その治療です。
これは原因によって様々です。
ざっくりまとめると、
①手術
②ホルモン療法
③止血剤や貧血の治療
④内科的な原因疾患の治療
となります。
どれを選択するかは、今後妊娠をどう考えるかがポイントになってきます。
a.今すぐ妊娠したい
b.今は希望しないけど今後いつかは妊娠したいと思っている
c.もう妊娠はしたくない
どう思っているのかで治療法も変わっていきます。
上記の①から④とa~cの妊娠の希望を組み合わせて考えると、選択肢は非常に多くなります。
ここでは書きれませんので、最近の話題を少し紹介いたします。
例えば子宮筋腫などがあり、今後妊娠を希望しない場合は、手術を選択することが多くなります。
以前は開腹手術が多かったのですが、最近では腹腔鏡による子宮全摘術が増えていて、負担の少ない手術ができるようになっています。
また筋腫の位置によっては経膣的な内視鏡のみで切除することも可能です。
2012年には『マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)』という方法が保険適応になりました。
これは子宮の内膜を焼くことによって出血量を減らす方法です。
マイクロ波って原理的には電子レンジです。
チンッてほど簡単なわけではありませんが、手術よりはるかに負担が少ない方法です。
この方法は妊娠を希望される方には適応になりません。
2014年9月に『IUS(Intrauterine System)』が保険適応になりました。
これは以前から子宮内に挿入する避妊リングとして販売されていたものです。
リングといってもT字型をしていて、そこから黄体ホルモンというホルモンを放出するようになっています。
その黄体ホルモンが子宮の内膜を薄くし、出血量を減らしていきます。
ホルモンの放出は5年間続きますので、一度挿入すると5年間効果が持続します。
こちらも妊娠を希望される方には適応になりません。
快適に過ごせる選択を!
このように新しい治療法もいろいろと出ており、今まで以上に選択肢が広がっています。
『普通と思ってたけど、実は私の量おおいんとちゃう?』と思われた方。
今までがまんされてた方。
一度産婦人科を受診してみてください。
快適に日々を過ごす方法がきっと見つかると思います。